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『ヘタウマな愛』(読書メモ)

蛭子能収『ヘタウマな愛』新潮文庫

愛妻家だった蛭子さんが、自身の生い立ちと、奥さんを亡くす前後を語った書である。

本書を読んで強く感じたのは、蛭子さんの正直さ。文庫版あとがきにて、以下のように語っている。

「私は新しい嫁さんと良い家庭を築く為に、前の嫁さん(つまりお前)のことはこれから一切口に出さないことにする。本当に許してくれ。生きている人が一番大事だと考える私を許してください」(p.147)

この部分だけ読むと、なんて自己中心的な人かと思ってしまうが、本書を通して、蛭子さんと奥さんが一体となって生きてきたことが伝わってきた。次の言葉が印象的である。

「俺は、「人間って、誰かを幸せにしたり、喜ばせるために生まれてくるものだ」と、そう思っている。一番身近な誰かって、結局家族でしょう。女房は、俺を幸せにするために生まれてきた。そして俺は、女房を喜ばせるのが運命だった」(p.51)

少し自分勝手だけれども、一生懸命奥さんを愛してきた蛭子さんに魅力を感じた。


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