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『職業としての学問』(読書メモ)

マックス・ウェーバー(尾高邦雄訳)『職業としての学問』岩波文庫

ウェーバーが、学問に生きる者のあるべき姿を語った講演録である。

心に残ったのは、次の一言。

「さて、お集まりの諸君!学問の領域で「個性」をもつのは、その個性ではなくて、その仕事に仕える人のみである」(p.27)

「仕事に仕える」という言葉が響いた。同様に、ウェーバーは次のようにも述べている。

自己を滅しておのれの課題に専心する人こそ、かえってその仕事の価値の増大とともにその名を高める結果になるであろう」(p.28-29)

要は「自分が目立とう」と思って研究するのではなく、研究テーマに惚れ込んで没頭するときに良い仕事ができるということだ。これは、研究に限らず、どの世界においても通じる考え方だと感じた。

ただし、次のことを心得ておかねばならない。

「学問上の「達成」はつねに新しい「問題提出」を意味する。それは他の仕事によって「打ち破られ」、時代遅れとなることをみずから欲するのである。学問に生きるものはこのことに甘んじなければならない」(p.30)

常にイノベーションが起こるがゆえに、自分の研究はどんどん古くなる。がゆえに、新しい研究をしようというモチベーションも高まるのだろう。

本書を読み、「果たして自分は、研究テーマに「仕える」ことができているか?」という点を考えさせられた。

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