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自分の納得したものを創る

映画『Shall We ダンス?』のリメーク版がハリウッドで公開されたとき、周防正行監督は、アメリカの記者から「ハリウッドで映画を撮るつもりはあるのか?」と必ず聞かれたらしい。

それに対し、周防監督は「なにがなんでもハリウッドで撮りたいとは考えていない」と答えていたところ、アメリカ生活の長いイギリス人通訳から次のようにアドバイスされたという。

「ハリウッドで撮りたいと思わなくても、ハリウッドで撮りたいと言うべきです。なぜならアメリカ人は、ハリウッドが世界最高の場所で、世界中の映画監督がハリウッドを目指していると考えています。だからハリウッドに興味がないと言えば、それはうそで、単に自信がないだけと理解するでしょう」(p.166)

さすが、「アメリカ=世界」という自国中心主義が強い米国ならではのエピソードである。で、周防監督はどうしたのか?奥さんの草刈民代さんは、次のように語っている。

「夫はその忠告を受け、しばらくは「ハリウッドで撮りたい」と言っていたが、やはりそれはうそなので、「ハリウッドで映画を撮ることが僕の目標ではない」と、正直に答えていたそうだ。それは、自分の納得したものを創りたい、という彼の信念からの答えだと思っている」(p.166)

成功の階段をかけ上ることも大事かもしれないが、「自分の納得したものを創る」ことの方がもっと大事だな、と思った。

出所:草刈民代『バレエ漬け』幻冬舎文庫


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