『アイヌ神謡集』の中に、編訳者・知里幸惠さんの実弟・知里真志保氏(言語学者)の論文「神謡について(一)」が掲載されていた。そこには、神謡やユーカラの歴史について書かれているのだが、その内容を読み少し驚いた。
なぜなら、アイヌ民族は初めから一致団結していたわけではなく、大陸からの異民族が侵入してきたことがきっかけで一つの民族となった、と書いてあったからである。
「大陸の方から押しかけて来た渡来の異民族と戦うために、北海道根生いの民族は、各地の酋長を集めて、族長会議をやっている。この頃は、もう・が孤立していたのではなく、異民族の侵入に対して、本土の連中が一致団結して連合というようなものを作り、総指揮者をおし立てているのである。そして、そのような共通の敵に対する団結を通して、同族意識を高揚し、自覚し、そこに、後世のアイヌという一つの民族を形成する地盤が作られてゆくのである」(p. 169)
この部分を読み、少し複雑な気持ちになった。というのは、「同族意識を持つためには戦争や争いが欠かせない」ともいえるからである。つまり、「争い」と「共同」は表裏一体である、といえる。
よく考えてみると、企業も、競争があるからこそ、組織内部で共同体意識が芽生える。逆に、外部との競争がないと、組織内がバラバラになる。実際、今行われているオリンピックでは、国同士が競い合っているからこそ、日本人という共同体意識が高まっている。
「争い」と「共同」のバランスをいかに適切に保つかが重要なのだろう。
なぜなら、アイヌ民族は初めから一致団結していたわけではなく、大陸からの異民族が侵入してきたことがきっかけで一つの民族となった、と書いてあったからである。
「大陸の方から押しかけて来た渡来の異民族と戦うために、北海道根生いの民族は、各地の酋長を集めて、族長会議をやっている。この頃は、もう・が孤立していたのではなく、異民族の侵入に対して、本土の連中が一致団結して連合というようなものを作り、総指揮者をおし立てているのである。そして、そのような共通の敵に対する団結を通して、同族意識を高揚し、自覚し、そこに、後世のアイヌという一つの民族を形成する地盤が作られてゆくのである」(p. 169)
この部分を読み、少し複雑な気持ちになった。というのは、「同族意識を持つためには戦争や争いが欠かせない」ともいえるからである。つまり、「争い」と「共同」は表裏一体である、といえる。
よく考えてみると、企業も、競争があるからこそ、組織内部で共同体意識が芽生える。逆に、外部との競争がないと、組織内がバラバラになる。実際、今行われているオリンピックでは、国同士が競い合っているからこそ、日本人という共同体意識が高まっている。
「争い」と「共同」のバランスをいかに適切に保つかが重要なのだろう。