みどりの野原

野原の便り

10月22日 ニホンザル 無駄な争いをしないサル 見習わねば

2015年10月22日 | Weblog
初めて行った「嵐山モンキーパークいわたやま」


桂川の近くからいきなり登り。階段や坂道を登り、20分ほどで標高160mにある「モンキーパークいわたやま」に到着。汗ばんだ。
 
途中には「眼を見つめない。さわらない。食べ物を見せない。与えない」「写真を撮る時の注意」などサルとふれあう時の諸注意の看板や「オサルクイズ」や体の特徴などの説明板が設置されている。

「モンキーパークいわたやま」
標高160メートル。野生のサルが暮らす公苑で広場と休憩所がある。後は山だ。
外国人の観光客が目立つ。

休憩所では中に人間が入って、外のサルに餌をやることができる。
餌は売っている。(持ち込み不可)
 
 
前は広場 餌場でもあり、ここで暮らすサルを近くで観察できる。  
                     右)京都市内が見渡せた。


休憩所の窓には金網が張ってある。サルを見ている? サルが見ている?


中で売っているリンゴやピーナツなどの餌を内側の台に置いて餌をやったり手から餌をやったり出来る。

登る前に、講師から近年起きている野生動物問題(サル害など)は人間が「してしまった」ことだと言われた。
①しっぽは? ない? 短い? 長い? ②手と足は同じ形?違う? ③毛がないのはどこ? の問題が出されている。そして、なぜそうなのかを考えてほしいと言われた。

餌をやったりしながらサルを観察して答えを探す。
今まで何回も見ているが、なんとなく見ていたなあ。      

 
              赤ちゃんが来た。かわいい。

センターの学芸員さんからニホンザルについてお話を聞く。
こんなに詳しくサルのことを聞いたのは初めてだ。
嵐山モンキーパークは1957年開設された。観光目的だったが、今は研究用にも使われている。
スタッフは10数人 常時4人はいるとのこと。

ニホンザルが113頭生活している。113頭全部に名前を付けて管理している。
名前はニックネーム(名字にあたる)の後に誕生年の西暦の下2けたもの。
モンキーパークにおられる職員さんたちはすべてのサルの名前を把握しているといい、3~4ヶ月で覚えられるとのこと。 ビックリポンだ。

開園当時にいたサルが、顔がクシャっとしているからクシャと名付けられ、
そのクシャが1959年に生んだサルが「クシャ‐59」
「クシャ‐59」が1971年に生んだサルが「クシャ‐59-71」
名前を見ると家族関係がわかるという。

ニホンザルはオナガザル科 日本は生息域の北限にあたる。
尻尾は短い(約10センチ)寒地に適応したものだという。(長い尻尾は体温を奪う)


頬袋 サルに餌を差し出された。口の中へ。また餌をやる。口の中・・次々餌をやるといくらでも口に頬張る。頬袋にため込んでいるのだ。その頬袋も満杯になって手で押さえているのは笑ってしまった。

頬袋にためた餌はまとめて食べる。小さいものを1つ1つ食べるよりは効率が良く、移動中でも食べられる。

尻だこ ニホンザルのお尻には硬い尻だこと呼ばれる部分がある。
 
 尻だこ  短い尻尾  雄のシンボル 尻には毛はない。        ウンコ

生まれた時からあり、神経葉は通っていない。硬い木の上で座って眠ったりするのも平気だ。


手 人と同じで親指が離れて付く。爪も人と同じ形(平爪)で、つかんだりつまんだり出来る。

 
 手 足  顔は毛がなく血管が透けて赤く見える。 
足も人と同じ形だが、サルは足でも物をつかめる。 人間は退化したのかも。

歯は32本 歯列も人と同じ。
 違うのは雄は犬歯が発達していること。
五感 色覚や嗅覚は人と同じという。
 おいしいまずいは別で、人間には生臭い生のダイズもサルは好物
聴覚は高い音域が聞けるらしい。
体重は 雄12~18キロ 雌8~10キロ 16キロ雌ザルがいるらしい。
寿命は約30年(野生では20年ぐらい)
 最高齢は1980年生まれの35歳の雌がいるという。

3歳半で生理が始まり5歳で出産できるようになる。最高齢出産は26歳
交尾期は10月~2月 出産期は4月~7月 食べ物が豊富な時期で赤ちゃんの生存率も高い。
妊娠期間は6カ月  離乳は6カ月 離乳期もちょうど餌の豊富な秋にあたる。
産むのは1頭で双子はいない。

サルの妊娠はわかりにくいそうだが、
年1回春先に短い夏毛に代わる「毛代わり」の時期が妊娠していると遅れるそうで、それでわかることもあるとのこと。

サルは母系社会で夫婦関係はない。子供が生まれても父親はだれかわからない。
「乱婚 雑紺」
群の形は2重同心円構造
雄は群を出て行き違う群れに移行するが、ここでは出て行かないようにしているとのこと。
群を出て行くのは血が濃くなるのを防ぎ、遺伝子を広く残すためと言われる。
ここでは外からのサルの出入りもあるので血が濃くなる心配はないという。
外から入ってきて群に入るものもいれば、交尾して出て行くものもいる。
どんどん増えるのでは?との質問には避妊薬を使ったりして調整をしているとのこと。

順位 無駄な争いが起きないようにルールがある。
昔は「ボスザル」と言われたが、今は第1雄 第2雄・・と言う。

強いものが順位が高いと言うわけではなく、
雄は群に先に入ったものが第1雄になり、雌は母親の順位を受け継ぐ。(基礎順位)
第1雄が必ずしも持てるわけではない。
7・8年も第1雄のサルもいれば1か月も持たずに出て行った例もあり、第1雄というのもストレスがあるらしい。
餌も真っ先に食べ、雌も独占 横暴なボスザルのイメージ 払拭

雌は雄に依存することで順位が高くなることがある。(依存順位)
兄弟姉妹では下の子の方が順位が上、母は喧嘩の時下の子の味方をする。(末子優位の法則)

雄どおし雌どおしの順位を確認するのに、A・B 2頭のちょうど中間に餌を投げられた。
Aが餌を取った。次にB寄りに投げた餌もAが取りに行った。次にBのまん前に餌が落ちた。
さすがにこれはBが取るだろうとの予想は見事に外れ、Aが取りに行き、Bは逃げた。
逃げなくても・・と思ったが、これでは喧嘩になりようがない。
順位は争いを避けるためにあるのだということを納得。感心した。

サル同士のコミュニケーションの方法は声・表情・グルーミングなど。
声は37種類 その内人が把握できるのは数種類
表情 怒っている時の表情は上の歯は出さず 低い声を出す。
   恐がっているときは上の歯を剥きだして、笑っているような表情に見え、高い声を出す。
恐がっている時の顔は「笑いの原点」と言われるらしい。(相手と距離をとる)

グルーミングは毛に付くサルジラミや卵を取って清潔にすると共にコミュニケーションにも役立つ。 

交尾行動
雌同士行うマウンティングは興奮を鎮めるため(レズビアン行動)
雄同士は順位を確認するために行う。高順位が上に。緊張を緩和して喧嘩を防ぐ。
乱婚雑婚で後は雌任せ。

食べ物 モンキーパークのサルは約200種の食物を食べていることがわかった。
春は新芽 若葉 夏~秋には果実や種子 冬は樹皮など。肉や魚は食べない。
カメムシや昆虫は好きだという。
お腹の調子を整えるため?に赤土も食べる。
母が子に食べ物をあげたり、譲ったりはしない。冷淡なように思うが理にかなうところがあるのだろう。

集合写真を取る時は餌でサルを誘導 私たちの前でカメラ目線のサルが写っているはず。


面白い話をいっぱい聞いた後、山の途中まで行く。

赤ちゃんザルが何匹か、じゃれあったり走り回ったり木に登ったり枝にぶら下がったり・・
時々低木の陰の母ザルの元へ。 母の見守る中安心して遊んでいて、見飽きない。
後足を毛がしているらしい子ザルがいたが、治療などは行わないとのこと。

午後からは自然の館で「京のサル」の講演を聞く。
建物の東北の角を鬼門という(陰陽道)
鬼門を護る猿
「京都御所」の鬼門の方角には猿の彫刻があり、築地塀はその鬼門の隅だけ切り取った形の猿が辻と呼ばれている。
御所から東北の「幸神社(さいのかみのやしろ)」にも木彫りの猿の神様が鬼門を護る。 
新日枝(いまひえ)神社の狛猿 日吉神社の西楼門の四隅を支える猿 山王神社の神猿
庚申堂にも猿  人は猿に護られている。
「丑寅(鬼門)の反対の方角が未申であるところから鬼門避けに猿を祀ったりする」ということらしい。

動物は昔は畏怖の対象だったが今は動物に対する尊敬の念も消えているのではないか。
人が繁栄する理由。人とは何か?と考えることの大切さを話された。             
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