娘たちと安堵町へ。
おっ。聖徳太子
足元には人の姿も見える。有名なのだろうがここは初めて来た。
近づいて見ると、ここは案山子公園のようだ。
カメラマンも案山子。見えた人影も案山子だ。
草だらけで入り込めない。
岡崎川の堤防の道
墓地のそばの湿地に、ウチワゼニクサ(ウォーターマッシュルーム)
今日の目的「中家住宅」(今年4月にも来て2度目の訪問です)
「中 氏」は元、武士の家柄。
足利尊氏に従って大和入り。筒井一族の武士となり活躍。
その後、江戸時代に帰農した。
中家は大和川の北岸に建ち、中世の平城(ひらじろ)様式を取り入れた、武家造りと農家造りを具えた民家。
3500坪という広大な敷地は外濠と内濠という2重の濠に囲まれている「環濠屋敷」
外濠 今は水はない。
内濠 左向こうに橋が見える。
中家住宅 正面
内濠に架かる橋は「跳ね上げ橋」
唯一の出入り口に架かる橋は、万一の時には中央の板を外し、外敵の侵入を防いだ。
この面は外濠はなく、濠は1重だ。
橋の向こうの建物は表門
左側の下男部屋には監視用の「物見窓」が付いている。
門の向こうには「主屋」
急こう配の茅葺き屋根、一段低く瓦葺の落ち屋根が付く、大和棟。
中家住宅は、表門・主屋 始め、新座敷・米蔵・新蔵・牛小屋・持仏堂や庫裏、宅地や竹藪・濠などすべてが国の重要文化財に指定されている。
今日は21代当主の奥様に案内していただく。
落ち屋根の下は台所。大きい「かまど」が眼をひく。
大小11もの釜が勾玉型に配置されているので、1人で釜の世話ができる。
生活には使われていないが、小学生のタケノコ掘り体験で、タケノコを茹でたりするのに使用されたり、年に3・4回は使用されるとか。
かまどを炊くことは家のためにも良い。
重文指定された際、家も解体修理されたが「かまど」も復元されたという。
かまどを作る技術を持つ職人さんも少なく、復元されるのには苦労があったらしい。
そのお陰で黒漆喰も艶やかな姿に復元された。
懐かしい「火吹き竹」「火消しつぼ」 昔、実家にもあった。
主屋の一角にある「入船の庭」
内濠が屋敷の方へ取り込まれている。
中家は江戸時代は天領(幕府直轄地)だった。
数年に1度訪れる役人を、船に乗せて観月会などを催すなど接待していたという。
必須の見どころは、梅干。甕が2つ残る。
梅干は戦の時には必須の貴重なものだった。
これは天正4年(1576)中家9代目の当主の時に漬けた「梅干」
(織田信長が安土城を築城した年)
もう一つは、安永2年(1773年)中家14代当主の時に漬けられた梅干。
(解体新書が刊行された年)
どのぐらい保存できるか試す意味で、食べずに残すように言い伝えられていたそう。
中身だけ見ると梅干しとはわかりにくいが、塩の粒はしっかり残っている。
保存食とはいえ、446年前・249年前の梅干しが腐らずに残っているとは・・
近頃の減塩梅干しではこうも持たないだろう。
当時の当主に梅干を1個もらい受けた泉州の町奉行がいたらしく、大切に保存しているらしい。
蒸し風呂
民家で蒸し風呂があるのは珍しく、姫路の三木家住宅と中家の2件だけという。
検見役人等来客用の風呂だったらしい。
戸棚式蒸し風呂 戸の向こうが蒸し風呂。
蒸し風呂の内部。
蒸し風呂は湯気で体を温めるもの。
台所で沸かした熱湯を内部の釜に入れ、板で湯気の調節をして、上に布を敷き(風呂敷)、浴衣を着て入る。
湯が冷めないように、下の焚口に「炭」を入れて保温した。
広い裏庭(昔は建物があったらしい)の向こうに「米蔵」
主屋から裏へ、だんだん土地は高くなっている。
米蔵は米を収納するだけではなく、大和川が氾濫した時など、近所の荷物を預かる場所にもなっていたようだ。
米蔵を抜けると内濠に出る。
内濠に架かる小橋を渡って、外濠との間の竹薮の道へ。
屋敷を取り囲む竹藪にはアライグマやネコなども来るという。
いたずらしないでね。
広い敷地をきれいに管理されているのに感心する。
竹藪の道をぐるりと回ると・・
左)「持仏堂」(中家の菩提寺)
右)の茅葺屋根は「庫裏」(持仏堂を守るお坊さんが住んでいたところ)
中家一族にはお坊さんもおられたらしい。
左に「聖天堂」の建物もあった。
茅葺屋根の維持管理も大変だ。
平成29年に屋根を葺き替えたというが、15年ぐらいしか持たないという。
茅の入手もむつかしく、解体修理の時は曽爾から調達したが、平成29年の葺き替え時には、遠く、岩手県から入手。茅葺職人さんの手配も困難で、山科の職人さんに依頼されたとか。
野鳥が巣材に屋根の茅を抜いていくこともあるそうな。
網をかけるわけにもいかないし困りますねえ。
ゆっくりと見学させていただいてよかった。
建築好きの娘も大満足。
西名阪高架下で、見慣れない草が目についた。
何かな? ヒユの仲間かと思ったが、違うようだ。
帰って帰化植物写真図鑑を見ると「カベイラクサ」(ヨーロッヒカゲミズ)(イラクサ科)が載っていた。
これには載っていないが、オオヒカゲミズなど似たものもあるらしい。
種子の色も一つの特徴になるようだが、果実には少し早い。
後日、連れて行ってもらうことにする。
初めてのものを見ると、ドキドキわくわく・・
飽波神社・八王子神社にも立ち寄って帰る。