みどりの野原

野原の便り

11月4日 中家住宅 安堵町周辺 カベイラクサ? 

2022年11月04日 | Weblog

娘たちと安堵町へ。

おっ。聖徳太子 
足元には人の姿も見える。有名なのだろうがここは初めて来た。


近づいて見ると、ここは案山子公園のようだ。 
カメラマンも案山子。見えた人影も案山子だ。
草だらけで入り込めない。


岡崎川の堤防の道


墓地のそばの湿地に、ウチワゼニクサ(ウォーターマッシュルーム)

今日の目的「中家住宅」(今年4月にも来て2度目の訪問です)
「中 氏」は元、武士の家柄。
足利尊氏に従って大和入り。筒井一族の武士となり活躍。
その後、江戸時代に帰農した。

中家は大和川の北岸に建ち、中世の平城(ひらじろ)様式を取り入れた、武家造りと農家造りを具えた民家。
3500坪という広大な敷地は外濠と内濠という2重の濠に囲まれている「環濠屋敷」


外濠 今は水はない。


内濠 左向こうに橋が見える。


中家住宅 正面 
内濠に架かる橋は「跳ね上げ橋」
唯一の出入り口に架かる橋は、万一の時には中央の板を外し、外敵の侵入を防いだ。
この面は外濠はなく、濠は1重だ。
橋の向こうの建物は表門
左側の下男部屋には監視用の「物見窓」が付いている。


門の向こうには「主屋」
急こう配の茅葺き屋根、一段低く瓦葺の落ち屋根が付く、大和棟。

中家住宅は、表門・主屋 始め、新座敷・米蔵・新蔵・牛小屋・持仏堂や庫裏、宅地や竹藪・濠などすべてが国の重要文化財に指定されている。

今日は21代当主の奥様に案内していただく。


落ち屋根の下は台所。大きい「かまど」が眼をひく。
大小11もの釜が勾玉型に配置されているので、1人で釜の世話ができる。

生活には使われていないが、小学生のタケノコ掘り体験で、タケノコを茹でたりするのに使用されたり、年に3・4回は使用されるとか。
かまどを炊くことは家のためにも良い。

重文指定された際、家も解体修理されたが「かまど」も復元されたという。
かまどを作る技術を持つ職人さんも少なく、復元されるのには苦労があったらしい。
そのお陰で黒漆喰も艶やかな姿に復元された。


懐かしい「火吹き竹」「火消しつぼ」 昔、実家にもあった。


主屋の一角にある「入船の庭」
内濠が屋敷の方へ取り込まれている。
中家は江戸時代は天領(幕府直轄地)だった。
数年に1度訪れる役人を、船に乗せて観月会などを催すなど接待していたという。

必須の見どころは、梅干。甕が2つ残る。
梅干は戦の時には必須の貴重なものだった。


これは天正4年(1576)中家9代目の当主の時に漬けた「梅干」
(織田信長が安土城を築城した年)


もう一つは、安永2年(1773年)中家14代当主の時に漬けられた梅干。
(解体新書が刊行された年)

どのぐらい保存できるか試す意味で、食べずに残すように言い伝えられていたそう。

中身だけ見ると梅干しとはわかりにくいが、塩の粒はしっかり残っている。
保存食とはいえ、446年前・249年前の梅干しが腐らずに残っているとは・・
近頃の減塩梅干しではこうも持たないだろう。

当時の当主に梅干を1個もらい受けた泉州の町奉行がいたらしく、大切に保存しているらしい。

蒸し風呂
民家で蒸し風呂があるのは珍しく、姫路の三木家住宅と中家の2件だけという。
検見役人等来客用の風呂だったらしい。


戸棚式蒸し風呂 戸の向こうが蒸し風呂。


蒸し風呂の内部。
蒸し風呂は湯気で体を温めるもの。
台所で沸かした熱湯を内部の釜に入れ、板で湯気の調節をして、上に布を敷き(風呂敷)、浴衣を着て入る。
湯が冷めないように、下の焚口に「炭」を入れて保温した。


広い裏庭(昔は建物があったらしい)の向こうに「米蔵」
主屋から裏へ、だんだん土地は高くなっている。
米蔵は米を収納するだけではなく、大和川が氾濫した時など、近所の荷物を預かる場所にもなっていたようだ。

米蔵を抜けると内濠に出る。


内濠に架かる小橋を渡って、外濠との間の竹薮の道へ。
屋敷を取り囲む竹藪にはアライグマやネコなども来るという。
いたずらしないでね。
広い敷地をきれいに管理されているのに感心する。

竹藪の道をぐるりと回ると・・

左)「持仏堂」(中家の菩提寺) 
右)の茅葺屋根は「庫裏」(持仏堂を守るお坊さんが住んでいたところ)
中家一族にはお坊さんもおられたらしい。
左に「聖天堂」の建物もあった。

茅葺屋根の維持管理も大変だ。
平成29年に屋根を葺き替えたというが、15年ぐらいしか持たないという。
茅の入手もむつかしく、解体修理の時は曽爾から調達したが、平成29年の葺き替え時には、遠く、岩手県から入手。茅葺職人さんの手配も困難で、山科の職人さんに依頼されたとか。

野鳥が巣材に屋根の茅を抜いていくこともあるそうな。
網をかけるわけにもいかないし困りますねえ。

ゆっくりと見学させていただいてよかった。
建築好きの娘も大満足。


西名阪高架下で、見慣れない草が目についた。


何かな? ヒユの仲間かと思ったが、違うようだ。


帰って帰化植物写真図鑑を見ると「カベイラクサ」(ヨーロッヒカゲミズ)(イラクサ科)が載っていた。
これには載っていないが、オオヒカゲミズなど似たものもあるらしい。
種子の色も一つの特徴になるようだが、果実には少し早い。
後日、連れて行ってもらうことにする。
初めてのものを見ると、ドキドキわくわく・・

飽波神社・八王子神社にも立ち寄って帰る。

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