嫦娥6号は6月2日から3日まで月の裏側にある南極エイトケン盆地のスマート急速サンプリングを順調に完了し、予定していた形式に基づき、貴重な月の裏側のサンプルを上昇モジュールの保存装置内に密封・保存した。人民網が伝えた。
これは中国科学院金属研究所が開発したアルミニウム基複合材料ドリルパイプと軽量アルミ合金コアリングパイプが、嫦娥5号の使用成功に続き再び使用成功したことも示している。
アルミニウム基複合材料ドリルパイプ。画像提供は金属研究所
嫦娥6号の月の裏側でのサンプリングは、引き続き掘削と表面サンプリングという2つの方法を採用。うち掘削に用いるサンプリング装置は3層構造で、設計長さは2.5m。最外層は回転しながら掘進できる外側ドリルパイプで、それと隣り合うのはコアリングパイプ。コアリングパイプの外側はコアリングバッグで覆われている。ドリルが下に向かい掘進する際に、コアリングバッグもそれと共に下に動く。掘削によって得られた月の土壌はバッグの中に押し込まれる。この過程は靴下を履くのにやや似ている。サンプリング後、コアリングバッグは巻き付く方法で土壌を掘削一時密封装置に収める。
軽量アルミ合金アウターシースとコアリングパイプ。画像提供は金属研究所
月の裏側での土壌採取は、設備全体の重量が軽いほどよい。外側ドリルパイプは炭化ケイ素粒子強化アルミニウム基複合材料で製造されたもので、月掘削サンプリング機構の重要部品だ。関連チームはアルミニウム基複合材料の大型ビレット及びマルチパス変形加工法により、高強靭性アルミニウム基複合材料押出棒、鍛造品、厚肉パイプを開発し、材料の性能及び安定性の大幅な向上を実現した。特にドリルパイプに用いる材料を対象に、高度に配向された微細構造設計を行い、耐摩耗性を確保しながら材料の高強度と塑性の適合を実現した。
土壌採取用のコアリングパイプは、2種の軽量異質アルミ合金で製造。月の裏側で土壌を採取する極限環境に対応するため、チームは数々の技術的な難題を解決し、軽量化構造を持つアウターシースとコアパイプを開発し、嫦娥6号の月の裏側での自動サンプリングに力強い保証を提供した。(編集YF)
「人民網日本語版」2024年6月5日