淀川水系
4ダム建設認めず
流域委意見書 国の原案否定
琵琶湖・淀川水系の河川整備計画原案を審議している国土交通省近畿地方整備局の外部有識者会議「淀川水系流域委員会」(宮本博司委員長)は二十二日、同省が原案でもりこんでいる四つのダムの建設・再開発に対し、四ダム建設を認めず、原案の見直しと再提示を求める意見書をまとめました。一九九七年の河川法改正を受けて設置された第三者委員会で、国の原案が否定されたのは初めてです。
この四ダムは、大戸川(だいどがわ・滋賀県大津市)、天ケ瀬(京都府宇治市)、川上(三重県伊賀市)、丹生(にう・滋賀県余呉町)。整備局は〇五年七月に大戸川ダムの建設を中止していましたが、〇七年八月に発表した原案で建設を打ち出し、「脱ダムからダム推進への方針転換」と批判されてきました。
流域委はこれまでダムの治水効果のデータなどを整備局に開示させ、検証。大戸川ダムは二百年に一度の洪水時に淀川の水位を十九センチしか下げる効果がないことなどを明らかにしてきました。一方で事業費は大戸川、天ケ瀬、川上の三ダムで計二千七百四十億円かかります。丹生ダムは治水目的か渇水対策か型式が決まっていないため、事業費は不明のままです。
意見書は「整備局の説明は、ダムが必要であることについて十分な内容になっていない」として、現時点では建設計画を河川整備計画に位置付けるのは「適切でない」と結論づけました。その上で、「堤防強化とその他の対策(ダムなど)を組み合わせた事業費を明示し、優先度の検討を行い、破堤による壊滅的な被害を回避・軽減する具体的な計画を示すこと」を求めています。
向日市の水道料金にも関わってくる重大問題です。