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オーストラリア、近隣には安全保障上の脅威はないが、中国牽制の軍事力を増強!

2021-12-17 | オーストラリアはちょっとおかしいよ!

海に囲まれたオーストラリア、

なぜ韓国のK9自走砲を輸入するのか(1)

登録:2021-12-16 08:42 修正:2021-12-16 13:13
 
K9のオーストラリアへの輸出から見た国際政治 
戦車と自走砲、見た目は似ているが任務と設計はまったく違う 
戦車は最前線突破、自走砲は後方から前方支援 
オーストラリア、近隣には安全保障上の脅威はないが、中国牽制の軍事力を増強
 
 
                   K9自走砲=ハンファディフェンスのウェブサイトよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 オーストラリアを国賓訪問中の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は13日、スコット・モリソン首相と首脳会談を行い、K9自走砲の輸出など両国の防衛産業の協力を拡大することにした。この日の首脳会談後、オーストラリア政府は、K9自走砲の生産企業であるハンファディフェンスと購買契約を締結した。

 オーストラリアは、K9自走砲30門とK10弾薬運搬装甲車15台を購入する予定で、額は1兆900億ウォン(約1050億円)だと伝えられている。オーストラリアと契約するまでに、韓国はこの自走砲を6カ国に約600門(約2兆ウォン(約1920億円)分)輸出した。韓国は2001年のトルコを皮切りに、ポーランド(2014年)、インド(2017年)、フィンランド(2017年)、ノルウェー(2017年)、エストニア(2018年)に輸出した。オーストラリアは韓国も含めた8番目の「K9ファミリー」になった。

 K9のオーストラリアへの輸出は、防衛産業と国防当局が10年以上にわたり推進してきた事案だ。2010年にもK9自走砲がオーストラリアの自走砲事業の優先交渉対象者に選定されたが、オーストラリアが急に事業を取り消し、失敗に終わったことがある。業界と当局の立場としては、念願をかなえた“快挙”だ。

 四方が海であるため近くに敵性国もないオーストラリアが、なぜ地上戦の兵器であるK9自走砲を輸入するのだろうか。カン・ウンホ防衛事業庁長はこの日の会見で、「K9自走砲は、現時点では牽引砲が中心のオーストラリア陸軍の火力支援体系の運用概念を、生存性の保障と迅速打撃の支援が可能な火力支援の概念へと発展させ、より立体的な陸軍に跳躍できる機会を提供する」と述べ、購買契約締結の意味を説明した。ところで、兵器体系に見慣れていない市民の立場としては、牽引砲や自走砲という言葉からして聞き慣れない。自走砲と戦車は何が違うのかも判断がつかない。

 
 
                   韓国軍のK2(黒豹)戦車=国防部のウェブサイトよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 まず、自走砲と戦車は一見したところ似ている。二つとも無限軌道(キャタピラー)を下につけ、四方を鉄甲の装甲で囲み、上に大砲を備えている。しかし、二つは任務と設計が完全に異なる。戦車は、最前線で敵の陣地や戦車などを照準射撃して破壊し、前線を迅速に突破し敵陣を倒す。第2次大戦時、ナチス・ドイツの戦車が縦深突破の電撃戦で欧州を一挙に踏みつぶした。戦車は最前線で戦う必要があるため、速く俊敏な機動力と敵の戦車の攻撃に耐えられる頑丈な装甲を備えている。戦車砲の有効射程距離は3キロメートル前後だ。戦車は機甲兵科が運用する。

 自走砲は、前線から数十キロメートル下がった後方で運用される。自走砲は前方に対する支援射撃が主な任務であるため、戦車より射程距離が長い。K9自走砲の最大射程距離は40キロメートルだ。自走砲は、戦車のように目標を正確に照準し破壊するのではなく、砲弾を何度も発射し破片で敵に被害を与える。自走砲は、敵の戦車の砲弾にも耐える必要のある戦車に比べ、装甲の防護力が弱い。K9自走砲は、重機関銃の銃弾と砲弾の破片に耐える程度の装甲を備えている。自走砲は砲兵兵科が運用する。

 
 
韓国軍のトラックが155ミリメートル牽引砲を引いている=陸軍のフェイスブックのよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 自走砲(self-propelled artillery)は、自ら動く大砲という意味だ。トラックのような車両に引かれる牽引砲と比べて考えると分かりやすい。牽引砲は敵の攻撃に脆弱だ。車両で大砲を引いて移動し、車両から取り外した後、砲陣地を構築し射撃準備をするまでに数十分以上を要する。牽引砲は敵に射撃準備の動きが捕捉されやすく、敵の大砲による攻撃や航空機による爆撃を受けると、手のほどこしようがない。牽引砲は自走砲とは違い保護装甲がなく、敵の攻撃に脆弱だ。

 
 
             105ミリメートル牽引砲の射撃場面=陸軍のウェブサイトよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 自走砲は、無限軌道とエンジン、装甲、大砲を備え、望みの場所に早く移動し、複雑な準備なしにすぐに砲撃できる。1000馬力のエンジンを備えたK9自走砲の最高時速は約67キロメートル。K9自走砲には、自動化された射撃統制装置と砲弾の移送および装填の装置があり、急速発射時には15秒で砲弾3発を発射できる。1分あたり6~8発の射撃が可能だ。

 自走砲は、射撃後わずか1~2分で元の砲撃位置から離れ別の場所に逃げ、ふたたび射撃することができる。通常、敵の砲撃を受けると、対砲兵レーダーで敵の砲弾の軌道を逆追跡し、敵の砲兵の射撃位置を把握した後、自軍が大砲を打ち(対砲兵攻撃)、敵の砲兵をせん滅する。自走砲は初めの射撃位置から素早く移動する「射撃後の迅速な陣地変更」が可能なため、対砲兵攻撃から生き延びることができる。このような理由から、世界各国は自走砲を砲兵の主力にしている。(2に続く)

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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