高角発射の場合、最高高度の2~3倍を正常飛行距離と推定するため、同日の弾道ミサイルを正常角度(30~45度)で発射した場合は、1万5000キロほど飛行できるものとみられる。米国本土が射程に入る距離だ。
北朝鮮のICBM、
6000キロの高度に1000キロ飛行…米本土打撃能力を誇示
米軍の対北朝鮮偵察活動を非難してきた北朝鮮が12日午前、東海(トンヘ)上に3カ月ぶりに大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射し、脅威のレベルを高めた。キム・ヨジョン朝鮮労働党中央委副部長らが10月と11日、米空軍偵察機の東海上偵察飛行について「危険な飛行を経験することになるだろう」とし、撃墜の可能性を警告した直後、対米武力示威に出たのだ。これに対して尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は「強力な対応」に言及するとともに、国際協力を強調しており、朝鮮半島の緊張が高まっている。
韓国軍合同参謀本部は同日、「北朝鮮の弾道ミサイルは高角に発射され、約1000キロ飛行した後、東海上に弾着」したと説明した。合同参謀本部は「情報探知能力が明らかになる」との理由で、北朝鮮弾道ミサイルの飛行時間や最高高度などは公開しなかった。しかし日本政府は「北朝鮮弾道ミサイルが午前11時13分頃、朝鮮半島の東約550キロの海上に落下し、最高高度は6000キロ」だと発表した。高角発射の場合、最高高度の2~3倍を正常飛行距離と推定するため、同日の弾道ミサイルを正常角度(30~45度)で発射した場合は、1万5000キロほど飛行できるものとみられる。米国本土が射程に入る距離だ。
北朝鮮のICBM発射は今年に入って4回目。これに先立ち、北朝鮮は2月18日にICBM「火星15型」▽3月16日にICBM「火星17型」▽4月13日に固体燃料基盤の新型ICBM「火星18型」を発射した。ただし、同日発射された弾道ミサイルの機種をめぐっては分析が分かれている。昨年11月18日に発射された火星17型の最高高度が6049キロで、4月13日に発射された固体燃料火星18型の最高高度が3000キロという点で、最高高度から判断すると、同日発射されたミサイルは液体燃料を使用する火星17型の可能性がある。
一方、飛行軌跡とロケットの段分離形態からすると、4月13日に発射された火星18型と似ているという。当時、火星18型は1段の場合、正常角度で飛行後に分離され、2段と3段は正常角度より高い高角方式で分離された。北朝鮮が液体燃料を使用する火星17型ではなく、発射準備時間の短さが強みとされる固体燃料基盤の火星18型を高度6000キロに引き上げたなら、有事の際に北朝鮮のミサイル発射の兆候を把握して事前に破壊するという韓国のミサイル防衛システム「キルチェーン」が形骸化する恐れがあると予想する専門家もいる。
北朝鮮のICBM発射は、今月27日の停戦協定日(北朝鮮の戦勝節)を控え、北朝鮮内部の結束を図る狙いもあるものとみられる。
北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席中の尹錫悦大統領は同日、国際協力を重ねて強調した。尹大統領はリトアニアのビリニュスで緊急国家安全保障会議(NSC)常任委員会を主宰し、「北朝鮮の不法な核・ミサイル開発は国際社会のより強力な対応と制裁に直面するだろう」とし、「韓米間、そして我々が独自に取る軍事・外交的措置を滞りなく実施するよう」参謀陣に指示した。尹大統領はまた、「北朝鮮の挑発は、グローバル安保協力について話し合うNATO首脳会議期間に行われたもの」だとその意味を喚起した。
尹大統領はNATO同盟国・パートナー国首脳会議での演説で、「北朝鮮の核とミサイルはここビリニュスだけでなくパリ、ベルリンやロンドンまで打撃を与えかねない実質的な脅威だ」とし、「我々はより強力に連帯して糾弾し、対応しなければならない」と参加国首脳に協力を呼び掛けた。