柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

空気

2007-06-19 08:41:29 | Weblog
硫黄島(iwo jima、いおうじま)の呼称は本来は「いおうとう」だったという話題です。クリントイーズトウッドのあの映画の影響あらばこそですが、新聞各紙の記事見ている内に、本土返還が1968年とありました。おお、知りませんでした。奄美大島も沖縄と同様に戦後米領になり、1950年代に返還されたんですよね、沖縄は70年代に。戦後の領土問題で、九州と北海道を剥がし取れというソ連など連合国の意見を蒋介石が押しとどめたという話は有名ですが、この硫黄島が1968年とはびっくりしました。大阪万博の2年前です。戦争で故郷を追われ(強制疎開させられて、これは先の映画でもシーンがありましたね)、更に名前も奪われていたものがやっと修復されることになったという筆致です。60年は長いのでしょうか、そうではないのでしょうか。
 ワタミの社長、こんどはコムスン買収だそうです。露出が過ぎる、外連に過ぎる感の拭えない人ですが、業種違いに(もともと飲み屋のチェーン経営で成り上がった人です)手を染める功名指向は胡散臭さを撒きちらします。教育再生会議の委員ですよね、あれこれTVのコメンテイターに呼ばれて、右寄りの正論吐いている人です。ま、有識者という肩書きの連中こそが胡乱な奴らです、ノーベル賞とった人がこちらにも優れているという保障なぞどこにもないわけです、ヤンキー先生に世を直す手立てが分かるはずもないことと思いますがね、もっとも、教職員組合推薦なんてキャリアよりはずっと面白いこと言う期待はありますけれど(今のところはその期待すら叶えられていませんが)。曰く調子に乗っている。経験のない、全く性向違いの掘り出し物(話題の上ではです、あくまでも)を、金にあかせて買い付ける、詳細は専門家に任せるなんてね。村上やらホリエモンよりも質悪い奴かも知れませんな。いやいや、どんな事業も利益上がればこそです、福祉が聖域なんてここから先も言いませんし、金の臭いがしたからコムスン社長も手を出したわけです。ワタミの社長もそうでしょう。飲み屋業界での成功手法が通用しましょうか。お手並み拝見ではありますが、どうにもこのオッさんの正義の味方然とした芝居がかった所作が目障りです。なんぼのもん?
 沖縄の戦時集団自決事件、軍の命令であったか否か。教科書からその記載が削除されたことに毎日新聞は承服しません。連載記事です。多くの証言を紡ぎます。反論ももちろん証言ですから、その点はイーブンです。いかな60年前の記憶とはいえ、目の前で家族や知り合いが死んでいった事象を忘れるわけがありません。誰がいつどういう内容で伝えたのかという詳細はあやふやになっても、たとえば軍人が手榴弾を手渡したとか必ず死ねと命令したとか、そういうポイントは忘れないでしょう。となれば、軍命令の定義の問題ですわね。手榴弾を手渡すことが命令なのかどうか。「まさかの時はお使いなさい」と「捕虜になるは日本人の恥だ、必ず自決しろ!」とではえらく違います。そしてその時代の、その場の空気。これを無視しては判断を必ず誤りましょう。今の我々は想像するしかない、そしておそらく凡たる想像ではとても追いつかないであろう強烈な現実の前で、人はどう考えたのか。生きて虜囚の辱めを受けず、と信じていた人も多かったででしょう、周りからそう強制された人もまた多かったでしょう、そして死にたくない、投降してでも生きたいと念じていた人も少なくとも同じ数いたに違いないです。その場で軍人がどういう態度をとったか、どう言ったか。どういうニュアンスで人はその言葉を聞いたか、その態度を見て何を感じたか。手榴弾手渡されただけで死の強要と感じた人もいれば、有り難いことを押し戴いた人もいるんじゃないでしょうか。手渡した軍人の心中は如何に。むろん、人格者であったという前提で話しているのではありません、野卑短慮な者もいたに違いないです。どう受け取ったかというレベルになれば、もう善悪正邪の判断はできません。そうじゃないでしょうか。生き証人達の言葉は、嘘ではないことでしょうがその人を通って出てきた言葉です、事の真偽を必ずしも表しません。あくまでも、私はこう思った、という話なのです。今の感覚であの場面を裁く、ひいてはあの戦争自体を糾弾するという態度は間違っているように思います。あの時代を生きた人達が闘った戦争なのですから。選択した戦争、と言い換えましょうか。後世のほほんと生きている私達の単純な想像を許さない、そんな特殊さを相当に認めなければならないのではないでしょうか。いつもそう思っています。
 
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