昨日佐渡金山世界遺産登録時の過大虚偽申請について書きましたが、承前。今朝の日経新聞に腸内細菌検査の嘘が暴かれてます。脳腸関連とか免疫機能の司令塔は腸だとかどこかで目にされたことありませんか。体に指示を送っているのは脳なのですが、腸から脳に送られるシグナルこそが多大に影響しているというもの、腸は外界からの異物(毎度の食事です)に常に晒されていてここに免疫に関する最大の防御網が張られているから、腸の機能を保つことが大切、そのためには腸内細菌の管理だと。だから腸内細菌を調べていくつかのタイプに分類して足りぬを補えば体調保全に資するとの理屈でサプリメントのビジネスが湧きおこっていて、健康マニアたちが飛びついている現況、それに冷や水をかけてます。どのような腸内細菌の分布ならば健康なのかといった証拠は何もない。検査結果からこれを食べようとか何をやろうとかはやるべきではない、人ではほとんど何も証明されてない、のだそうです。売らんかなのために都合のいいデータばかりを引用して喧伝していく、それに呼応する学者がいて(懐を肥やすのですよ当然)、反発する者もいて。当初はやったもん勝ち、やがて真実が知れて振り回されるのは観客だけ。世界遺産事情と全く一緒です。いずこも同じ秋の夕暮れ、です。
自民党上川さん、首相レースから落伍しました、それを産経が記事にしてます。上川氏 アドリブ弱点と。保守月刊誌からは意外にも(私が知らぬだけでしたが)大叩きを喰らってるのです。高市さんと比べての論議ですが、この女史には信条とか芯がないのだそうです、原稿を読むだけだと。麻原彰晃はじめオウムの連中を全員吊るした(死刑執行した)御仁として有名でした、その肚の据わりを私は評価されてるのだと思ってましたが、静岡知事選の時の「産まずして何の女の力ですか」発言で一気にしぼんで。この記事にも原稿棒読みと聞いてないことまで答えることを批判してますが、つまり原稿読むだけなんですね。そうかぁ、そう言われればこの人の答弁はそうですねたまに国会中継で見ますが。アウトですね。麻生さんのおばさんやるねぇの発言に対してもああしか言えなかったのでしょう、怒って見せるとかはぐらかすという芸当ができぬだけでもなく、大人の対応なんて評価もあったのでしたが原稿のないアドリブとすればあれが精一杯だったと。そうかぁ。
広島廿日市市での中学生が野球部部活練習時に部員同士でぶつかって顚倒。養護教員が観て急を要する状態ではなく保護者に連絡して医者に連れて行けと指示。医者にかかり問題なしとして自宅に帰り、その夜急変して救急搬送、6日後に死亡したという事件。TVも報道してました、教育委員会が弁明してました。ううむ。正式な死因が新聞には載ってないですが、普通に考えれば私たち脳外科医がやってはならぬと叩きこまれる鉄則その一、危ない症例を帰すなに当たるのでしょうね、結果論ですが(所詮はどんな事故も結果論です)。少なくとも教育委員会が謝る事例ではないです、医者にかかってるのですから。咎められるべきは最初に診た医者です、何故帰した?なぜ経過観察を要するとして入院させなかった?どの医療機関に行ったのでしょうか。今時は頭打ったら脳外科です、特に教員たちは心得てます、内科や他の科には連れないでしょう、そう保護者に指示したはずです。廿日市には昔からある脳外科開業医がありますが、どこに行ったかは記載がありません。医者の足りない田舎じゃないです、きっと脳外科にかかっているはずです。ならば責任はそこです。いえ、上記したように死因が明らかではないです、例えば外傷による脳挫傷とか頭蓋内出血以外の死因であれば全然話は違います、誰の所為でもないことです。が、外傷に伴う頭蓋内病変が原因であれば責任は問われましょう。何日か前にどこかの病院で高校生が腹部症状で夜間の救急受診、研修医が誤診して(重大な緊急を要する病気を見逃して)結局亡くなったという事件がありましたが、今次も研修医絡みの事例であるならモヤモヤが残ることで、いやそうでなくてベテランがやったとすればそれはそれで問題ではあります、脳外科医の技量としての問題です。家族はやりきれないでしょうねぇ、学校の指示に従い、医者にもかかった末のことですから。何度も書きますが学校や教育委員会が謝ることではないです。教員の対応は問題ないことです。しかし、こういう世情なのですね。学校で起こったことは何でも学校の責任だと。学校側もまず謝れ、頭を下げろ、という安直なのでしょう。嫌な世の中ではあります。PCの猖獗です。いや、この事件の本点はそこではなくて、初めに診た医者の責任です。CT読めばきっと何か所見があるはずです。どれも結果論です、最悪の結果からそういうバイアスかけて遡れば落ち度や所見はきっとあります、見逃したと。現場でいかにきちんと診るか。言葉にすればそれだけですが、ここは自戒も込めて、最前線の医者の能力と矜持です。やってはならぬことはやってはならぬのです。
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