柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

がっかり2

2007-11-21 08:42:56 | Weblog
水俣病の被告会社チッソが、未承認患者の国の救済案(金出せ、です)を蹴ったそうです。公害の象徴のように扱われ、被害者達が好奇の目に晒され差別に遭い、結局政治決着したというこの手の訴訟の典型例でした。政治決着とは、裁判では勝って、しかしご苦労をかけたということで慰謝料補償金を支払うという手法です。最高裁まで行けばバーターにはなりませんが、地裁高裁レベルでは控訴上告しないという条件で補償金を支払うという、より具体的な物々交換です。自治体や国は大概この手でくぐってきてるのでしょう、被害者も早く具体的な何か(金)を手にしたいでしょうし。記事には1995年にこの会社は317億円支払ったとあります。立派な決着です。でも、今回は未承認患者相手というのがポイントなんでしょう。政府のプロジェクトチームなるものが救済案を出したそうで、この会社にまた金を出せと言ってきているそうです。会社にすれば「もう結構」でしょうね、社長の言うとおりでしょう。何のための政治決着だったんです?です。今さら何を、でしょう。あの事件は法律上終わったことです。あれだけの補償金出して、道義的にも済んだことです。何だか、たかれるだけたかれって感じがして嫌なことです。あの会社の作った製品も、日本が世界に伸していく一翼を担ったのでしょう。あの会社に勤めて棒給を得ていた人も多いのでしょう、地元民の雇用に大きく寄与していたのでしょう。自治体には大きな税金が落ちて。今の基準で裁くのは間違いです。あの事件があって公害対策がより厳重になされるようになったのです。あの時代には排液に関する法律が甘かったんでしょう、でもそれも今と比較しての話です。事後法で裁くのは間違いです。あの時代は許されていたことなんです。今から思えば乱暴粗野なことでしょうが、そうだからグイと日本経済が伸びて行けたんでしょう。だからその影の部分(不利益を被る人、被害に遭う人)は仕方ないのだ、とまでは言いませんが、結果論として咎めるのなら、結果論として仕方なかったかなという論もあるはずと思います。いかがですか。
 日経に証券会社の社長が混合診療賛成論をぶっています。混合診療については拙稿で書きましたが、この人も癌患者の目の前の問題を取り上げているだけです。最新の薬を使われないのはどういうわけだ、保険が利く分まで自費になれば損でもない出費になる、死ねというのか?です。憲法の平等権、生存権、財産権に抵触するぞと迄言います。反対論とはこういうことでしょうね。中で国民皆保険に触れたくだりがありますこう書きます、混合診療は国民皆保険を破綻させるという論理も極めて疑わしい、そうで、医師会が主張する「金持ち優先になり不公平になる」論を叩き、保険収載(保険が利く)されるまで待つべきだという論をそれで不利益を被っているのだ、と言います。それだけです。この人もわかってないのですね。目先の癌患者の訴えばかりを優先させているんです。数にしたら少ないですよ、そうでない人の方が大多数です、もちろんですが。で、私が先に言ったことですが、混合診療認めたら、国はどんどん保険の利く範囲を狭めてきます。今でもそうしたくてしかたないんですから、役人連中は。すれば、これは癌患者だけの話じゃない国民全体に及ぶ話になります。大きな金額です。さかんにこの筆者は国民の不利益を叫んでいますが、癌患者ももちろん国民ですが、その後ろに大多数の国民もいるわけです。保険の利く範囲が小さくなって不利益を被るのはその大多数にも及ぶのです。どっちが大きい不利益です?小泉さんのあのフレーズを未だに称賛していますが、あの改革のお陰で今の医師不足(偏在)問題が起こり、勤務医が減ってきているんです。それもわかってない。全く有識者なんてのはこんなレベルですかね。がっかりです。
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