特にシリーズにするつもりもありませんが、下の記事と同系統と考えていただければ幸いです。
あまりに初歩的なところから粗雑すぎる
映画で、物理的に変だ、時代錯誤だ、前のシーンとつながっているのに服装などが違う、というのがあります。IMDbでは、これを「Goofs」としています。たとえばベトナム戦争の戦意高揚映画『グリーン・ベレー』で、ラストでジョン・ウェインと少年が、夕日の沈む海で話をするシーンとか(意味が分からない人は、ベトナムの地図を思い浮かべましょう)、いろいろあります。
で、これは私が発見したということもないのかもですが、先日再放送を録画して観てみた西村京太郎のトラベルミステリーから。テレビドラマなので本来映画ではないですが、便宜上「映画」のカテゴリーにします。
警視庁の警部補が、北海道警の刑事と共同で捜査していて、途中連絡があったので車を止めるシーン。
公用車が「わ」ナンバーじゃないかよ!!!
まーったく、くっだらねえところが粗雑ですよね(苦笑)。こんなのナンバーを見えないように撮影するなりいくらでも対処できたでしょうに。
学生時代、飲み屋での話で、レンタカーであることを(女の子に?)見破られないために、グリーンガムをつけて、「わ」を「ね」にするんだと聞かされて爆笑したことがありますが、これはけっこう有名なネタのようですね。前に何かの本で読んだことがあります。いずれにせよ良い子の皆さんは、まねをしないように。
蛇足:『グリーン・ベレー』の話がよくわからない方は、たとえばこちらのサイトを参照してください。種明かしがあります。でもこういう映画を作っているようでは、やっぱりベトナム戦争で北ベトナム軍や解放戦線には勝てまへんわな(意味なく関西弁)。まあWikipediaにもこのネタはのっていますが。
以下の指摘について、小生は「ドイルの赤毛連盟を除いて」読んだこと、見たことはなく「いわゆるうんちく本、雑学本での知識」ですがその種の「粗雑さ」では次のようなもんがあるようですね。
1)一酸化炭素と二酸化炭素を取り違える
ディクスン・カーがやらかしたミスだそうです。
一酸化炭素はもちろん有害なガスですが二酸化炭素(ドライアイス)はそんなもんではありません。
2)青酸カリを注射して殺害
某ミステリドラマのミスだそうです。青酸カリというのは胃酸と反応して青酸ガスを発生させて死に至るので血管に注射しても当然ながら死にません。
3)横溝正史の「仮面舞踏会」、鮎川哲也の「りら荘事件」
赤緑色盲を「赤と緑の区別がつかない」としてしまって「事件解決の重要要素」にしているが、実際には「赤と緑のグレーゾーンの区別がつかない」のであって全くの赤と緑の区別ならできる
したがってたとえば「トマトジュースとメロンジュースの区別ができない」なんてことはありえない。
4)逮捕すると時効が停止する(「西部警察」など、昔の刑事ドラマ)
実際には逮捕しようが、起訴しないと時効は停止しません(逮捕しなくても起訴すれば時効は停止します。まあ逮捕しないと裁判ができずその時点で停止の効力がなくなりますので「裁判開始までに逮捕がほぼ確実視される&時効を停止する緊急性があるとき」しか「逮捕しないで起訴」はありえませんが)。このあたり最近の刑事ドラマは「起訴しないと停止しない」という設定にほとんどなってると思います
5)コナン・ドイルの「赤毛連盟」
素人が地下トンネルを周囲に気づかれずに掘れるわけがない、あんな面倒くさいことするくらいなら普通に銀行強盗した方が楽だ、つう指摘はよくされます。
この小説については、以前も指摘しましたように、犯行直前に組織を解散するというのもご都合主義の設定です。
「連絡」はどうやって受けたのでしょうか?
携帯電話があった時期のドラマなら問題ありませんが、車両に装備してある無線連絡以外に連絡方法がないのであればレンタカーというわけにもいきませんしね。