ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

櫻井よしこによると、クリントン米国務長官のミャンマー訪問はニクソン訪中に匹敵する重大事らしい

2011-12-27 07:30:49 | 社会時評
外相がミャンマーを訪問して、大統領やアウンサンスーチーとも会談しました。引用はこちら。

>玄葉外相、スー・チーさん来日を招請へ
読売新聞 12月26日(月)20時12分配信

 【ネピドー=石田浩之】ミャンマーを訪問中の玄葉外相は26日午前(日本時間26日午後)、首都ネピドーでテイン・セイン大統領と会談し、日本企業の投資を促す投資協定の交渉に入る方針で一致した。

 また、外相はミャンマーの民主化の動きを評価するとともに、一層の民主化を求めた。外相は同日午後、民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんとも会談し、来日を招請する。

 外相は大統領に「ミャンマーの一層の民主化と国民和解を求めたい」と述べ、公正な選挙の実施や政治犯の釈放、少数民族などとの和解の取り組みを一層前進させるよう求めた。

 大統領は、「民主国家になると、経済発展が必要だ。日本の投資に期待する」と強調。これに対し、外相は、人道支援を除いてこれまで見合わせてきたミャンマー向けの政府開発援助(ODA)供与を再開し、本格的に経済支援を行っていく考えを伝えるとともに、投資協定を通じて経済支援を強化する方針を打ち出した。 最終更新:12月26日(月)20時12分


いろいろミャンマー情勢も動いているということですね。

さてさて、櫻井よしこが、こんな記事を書いています。

>オバマ大統領がクリントン国務長官のビルマ派遣を発表したのは11月18日、東アジア首脳会議出席のために訪れたインドネシアのバリ島でだった。会見で大統領はこう語った。

「米国はビルマの人権問題に重大な懸念を抱いた。長い年月の暗黒時代のすえにビルマに今、光明が見えてきた。政治犯や少数民族、北朝鮮との緊密な関係など現在も問題点は多いが、民主主義への動きもある。米国はこの機会を歴史的転換の好機ととらえたい」

オバマ大統領は一気に語り、「昨夜、スー・チー氏と語り合った。彼女も米国のビルマの民主化への関与を支持していることを確認した」と述べ、国務長官の派遣を発表したのだ。

大統領は質問をいっさい受けず、重要発表だけでさっと姿を消したが、その手法は世界を震撼させた1971年のニクソン大統領の訪中計画発表と酷似している。似ているのは手法だけではない。国務長官のビルマ訪問の重要性はニクソン訪中の重要性に匹敵する。ビルマの民主化と中国離れが進めば、それはチベットやウイグルにも波及し、独立を視野に入れた地殻変動につながる可能性がある。民主主義と自由を掲げる諸国が一党支配と人間の弾圧を是とする中国を包囲し、中国を変えていく可能性があるのだ。



気付いたんですけど、櫻井は「ミャンマー」でなく「ビルマ」と表記しています。彼女なりのポリシーなんでしょうね。

それにしても

>国務長官のビルマ訪問の重要性はニクソン訪中の重要性に匹敵する。

ってのは大げさにもほどがあるってもんでしょ(失笑)。中国は、ニクソンが訪中を発表した時点だって経済的にはともかく人口は文句なしの世界一だったし、また当時は冷戦真っただ中なわけで、しかもベトナム戦争にも米国が関与していた時期ですから、その衝撃たるやいまの時代とは比較にならんでしょう。

>ビルマの民主化と中国離れが進めば、それはチベットやウイグルにも波及し、独立を視野に入れた地殻変動につながる可能性がある。

いや、それは無理ってもんでしょう。関係ないとは言いませんが、そう容易にチベットやウイグルにそれが波及するなんてのは、あまりにおめでたい見解でしょう。「可能性がある」なんてとても言えたもんじゃありません。

>オバマ政権は発足当初から米国のビルマ政策の再検討を開始し、3年間で20回を超える秘密交渉を行ったそうだ。クリントン長官はビルマの軍事政権に制裁一辺倒の外交で応ずることの限界を感じていた、と語ったが、ビルマ軍事政権が米欧諸国の厳しい制裁ゆえに否応なく中国への依存を強めてきたのは事実だ。中国にとっては願ってもないことだった。ASEAN諸国中、最大の国土と豊富な資源を有するビルマに、中国は積極的に投資し、その国土と資源を事実上中国のものとしてきた。

あのー、

>クリントン長官はビルマの軍事政権に制裁一辺倒の外交で応ずることの限界を感じていた、と語ったが、ビルマ軍事政権が米欧諸国の厳しい制裁ゆえに否応なく中国への依存を強めてきたのは事実だ。

って、北朝鮮に対しても同じようなこと言えない? 制裁一辺倒の外交がぜんぜん効果ないじゃん。そして中国との関係もぬきさしならないものになっている。まあ、櫻井みたいな人からすれば、ほかはともかく北朝鮮に対しては、効果より制裁すること自体に意義があるっていうところでしょうけど。

>軍事政権に替わって新政権が生まれた今年三月以来、ビルマ国内で噴き出したのは反中国の国民感情だった。経済的に中国に依存し過ぎた結果、資源も国土も奪われるという不安と不満が新政権を動かし、その動きを米国は好機ととらえた。米国は以降、ビルマ民主化のテコ入れを強めるだろう。

ミャンマーにしても中国やASEAN諸国ばかりと密接な関係を保っていても仕方ないしね。これは当然のうごき。

>インドきっての戦略家、政策研究センター所長のブラーマ・チェラニー氏が語った。

「中国はインド周辺の十数ヵ所に軍事拠点を築き、いわゆる真珠の首飾り作戦でインド封じ込め体制を築きました。今、われわれは、米国、日本、ASEAN、豪州、ニュージーランド、インド、ロシアが協力し、『真珠』に勝る『金の首飾り』作戦を展開すべきです」


また出た、チェラニー氏。この人、ほんとよく櫻井の周辺に登場しますね(こちらの記事、こちらの記事こちらなど)。櫻井らのブレーンというべきでしょうか。ところで、ちょっと「国家基本問題研究所」のHPを眺めていたら、ここ最近はインド関係に彼らは熱心ですね。

>今、われわれは、米国、日本、ASEAN、豪州、ニュージーランド、インド、ロシアが協力し、『真珠』に勝る『金の首飾り』作戦を展開すべきです

いや、これらの国々は、もちろんチェラニー氏の母国インドをふくめて、みな中国とも良い関係を築きつづけようとするでしょう。「真珠」と「金」がトレードオフの関係にあるわけではない。中国はそんなに遠くない将来、米国をぬいて世界一の経済大国になります。そのような国とうまくやっていかなければいろいろと不都合なことが生じるのはこれまた当然な話。

櫻井がこの件を大げさに評価するのは、要はミャンマーにおける中国のプレゼンスの低下を喜んでいるからでしょうけど、ミャンマーだって今後も中国とは最大限可能な限りいい関係を築きつづけようとすると解釈する方が妥当じゃないですかね。いずれにせよ、こんなことを大喜びしているのもなんともお粗末に思います。
コメント (2)
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