拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

鶯が鳴かずに泣く理由

2017-02-19 10:06:21 | 音楽
春一番が吹いたので、シュッツを歌う会(テナー募集中)で練習のおまけにマレンツィオの「Zefiro torna」を歌った。歌詞を見て気づいたこと。「e garrir Progne e pianger Filomena」(燕はさえずり鶯は泣く)。え?鶯は「鳴く」んじゃなくて「泣く」の?(pianger(e)=泣く。因みに「椿姫」でアルフレードの父ジェルモンがヴィオレッタに「piangi」(泣くがよい)と歌うのを聴くたびに私は憤りを感じる。泣かせたのはお前だろうが)。鶯(正確には夜泣き鶯=ナイティンゲール)が泣く理由はギリシャ神話にあった。ProgneとFilomenaはアテネの王の娘(いくらFilomenaでぐぐっても「鶯」が出てこないはずだ)。Filomenaは姉(Progne)の夫に犯され、このことをみんなにぶちまけてやるー、と言ったら男に舌を切られた。その後復讐劇とかいろいろあって、最後に三人とも神様によって鳥に変えられた。Filomenaには舌がない。だから鳴かない燕になった。おおっ、ガッテン。だからFilomenaは鳴かずに泣くんだ……あれ、まてよ?Filomenaは鶯の方だったよな(どっちがスザンナでどっちが伯爵夫人だか分からなくなったアルマヴィーヴァ伯爵の気分)。なんでもこの話にはいろいろなヴァージョンがあるそうで、Filomenaは舌を切られたけど鶯に変身させられたとするのもある。これなら「鶯が泣く」理由が分かる。それから姉妹を逆にする話もある。これだと、Filomenaは舌を切られてないから鶯になってもおかしくない。泣くのは、(妹を犯した)夫への復讐として夫との間の子を殺して料理にして夫に食べさせた(おぞましや~)ことの後悔ということで説明がつく。まあ、いろいろな話が混ざり合って「Zefiro torna」の歌詞になった、ということで。ふー。ようやく一息。なんてったって「鶯」と「ナイティンゲール」の違いから調べ始めたからなー。鳴き声もチェックしたもんね。