拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

スパラフチレ研究

2013-11-12 09:18:07 | インポート
スパラフチレ(以下、「スーさん」という)は、殺し屋ですが、挨拶をきちんとするだけではなく、プライドも高い。妹が、公爵を助けて依頼者(リゴレット)を殺そうと唆すのに対して、「俺は泥棒かっ(イワシ泥棒のワサビかっ)」と言って怒る。あ、あのー、おたく、殺し屋でしょ?日本では、法定刑は窃盗罪より殺人罪の方がずっと重いです。ゴルゴ13ってことでしょうか?ちなみに、スーさんはワインの名産地のブルゴーニュ出身。おおっ、これもリゴレットの舞台が当初フランスだった名残か(マントヴァ公爵の偽名がグァルティエールであることに加えて。これまでは遠路はるばる職を求めて南下したんだとばっかり思ってた。)。子供の頃読んだ訳では、出身地を聞かれて「たーこくーじゃ」(原詩は「Borgognone」)。それから、最初にリゴレットに会ったときスーさんを追いはぎだと思ったリゴレットに対して「これでも武士でござるぞ」(原詩は「Un uom di spada」。直訳すると「剣の人」。)。記事の冒頭のシーンに戻って。妹が「じゃ、(公爵を)逃がす」と言うに及んで、突然「身代わりを殺そう」と言い出すあたりの一瞬の変化は、ヴェルディが20年後に書いたアイーダでラダメスが「Fuggiamo!」と叫ぶところと通じる。