(葛の花が咲き乱れて・・・散歩道にて)
文月14日はS先生の東京教室のお稽古でした。
門を入ると、どこもきれいに掃き清められ、風が金木犀の香りを運んできました。
文月の稽古科目は、大圓真、長板総荘・初炭、長板総荘・濃茶(欠席)、長板総荘・薄茶、(昼休憩)、台天目、台子・三友之式、台子・貴人清次花月です。
暁庵が所属する2班は台子・三友之式(花寄せ、香、薄茶)なので、2日前に散歩がてら花を探しに出かけました。
歩いていると、葛の花の甘い薫りがしてきました。生い茂る葛の葉を分け入ると丁度好さそうな花が咲いていました。葛の花は秋の七草の一つですし、文月の三友之式にぴったりです。
山上臣憶良 秋の野の花を読める歌二首 (万葉集)
秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花
萩の花尾花葛花なでしこの花をみなえし藤袴朝顔の花
他にも八重の黄色の山吹、洋種ヤマゴボウ、角虎の尾、野紺菊を採取し、我が家の秋海棠と撫子を加えて持参しました。
コロナウイルス禍のため、研究会や他のお稽古が中止になっているそうですが、そのせいもあり(?)いつもより細かく丁寧に基本からご指導いただき、一同感謝感激でした。
(大圓真のお稽古の前にパチリ・・・I氏の灰形がいつも見事です)
(三友之式では天板中央に棗(薄器)、建水を外し蓋置を建水の位置に置いておきます)
「「台子で花月(七事式も)はやらないように・・・」と指導していますが、今回は三友之式も貴人清次花月も台子ですね。やらない・・・と決めつけるのではなく、先ずやってみて、ここが合わないとか、ここをどうするか・・・など実際に考えることも必要です」
台子で花月はやらない方がよい・・・と決めつけていたかもです。大いに反省し、実際にやってみると・・・以下に続く。
先ず、台子に建水を飾らず、蓋置だけ建水の位置に置いておきます。棗は天板に飾ります。
亭主(Iさん)が花台で迎え付け、皆で持ち寄った秋の花であふれる花台を床の前に置きました。正客から順次花を生けていきます。花寄せが終わり、亭主が花台を持って立つと同時に、連客は袱紗を腰に付けます。
(三友之式・花寄せで生けられた秋野の花たち)
亭主は折据が載せられ香盆を正客(Oさん)の前に運び出し、「折据をお回し」で折据を回します。亭主が札を取り握り込んで折据を膝前に置くと、一同は揃って札を見て、「月(正客:Oさん)」「花(三客:暁庵)」と名乗りました。月は香を焚き、花は薄茶(花月で四服)の初花です。
香が炊かれ、皆で香を聞き、亭主は香盆を床の上座へ置き、立ち上がると亭主は水屋へ、一同は四畳半へ入ります。
菓子が運ばれ、茶椀が点前座に運ばれ、棗と茶碗が水指前に置き合わせ、水屋から建水を運び出し、踏み込み畳敷合わせに置き、亭主は仮座へ入ります。
初花(暁庵)が建水を持って点前座に座り、先ず火箸を取り(ワンケンバシのワンケンは既に終わっているので)、扱って台子左横へ置きます。
蓋置を取り扱って置き直し、総礼。あとはほぼいつもの通りですが、茶巾で札が回り、折据が留め置かれると「月、花」が名乗り、月へ菓子が回され、月が茶を頂きます。
茶を点て茶碗を出すとすぐに初花は「松」と言って帛紗を腰につけ、仮座へ戻ります。
順番に菓子付きで4服薄茶を点てます(各服点です)。
4服点てて茶碗が戻り、総礼、座替わりです。客座の4人の座替わりの足の運びで詳しいご指導があり、盛り上がりました。
こうしてS先生と秋野の花に見守られながら、無事に三友之式が終わりました。
葉月(8月)は眩暈のためお休みしたので、2ヶ月ぶりにS先生からいろいろなことをお習いして、とても充実した一日となりました。