暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

三溪園・春のクロスロード茶会・・・(1)いざっ!出陣

2019年04月22日 | 茶事・茶会(2015年~自会記録)




2019年4月13日(土)、ブログ開設10周年を記念する茶会を三溪園で開催しました。
その日は天気も良く、スタッフ一同と三溪園正門に8時30分に集合しました。
3台の車に茶道具を積み込み、全員が分乗して時速8キロで庭園内の駐車場へ。
折しも桜がはらはらと散りはじめ、木々の新緑で彩られた三溪園ですが、その素晴らしい景色を鑑賞する間も余裕もなく、春草廬と蓮華院に別れて茶会の準備に取り掛かりました。


  「いざっ!出陣」(最初にして最後の貴重な写真・・・)

たすき掛け姿の頼もしい方たちもいらして、一斉にそれぞれの役割分担をこなしていきます。
なんせ、春草廬(濃茶席)の第1席・曙席のお客さまが9時15分には待合(広間)へいらっしゃるので時間がありません。
先ずは荷物を春草廬まで運び上げ、荷を解く人。
炭を熾し、湯を沸す人。電気ポットに湯を沸かして持って来たので、これでだいぶ時間短縮ができました。
蹲踞を清め、水を撒く人。
私は床の設えの担当です。
待合の床に御軸を掛け、花を生け、毛氈を敷き、春草廬(三畳台目)の床に掛軸を掛け終わるころには、炉へ炭火が入り、釜が掛けられました。



水屋では箱から水指や茶碗などが取り出され、茶が掃かれ計量されて茶入へ。
水指が置かれ、茶入が置かれ、仕付け棚に大棗が飾られました。
水屋の様子を見届ける余裕もなく池さんと稲さんにお任せだったけれど、次々と手際よく準備がされていったようです。
一段落して水屋の外へ出ると、ご案内を待っていた曙席の五葉会のお仲間Akatsuki庵さまと顔が合い、嬉しくご挨拶を交わしました。



待合でお菓子を賞味して頂いてから蹲踞へご案内し、躙り口から春草廬へ席入りしていただきました。

春草廬には広間の前と小間の躙り口の前とに2つの蹲踞があります。
今回は京都天竜寺にあったもので、夢想国師が愛用したと伝わる苔むした蹲踞を使いました。
頂戴した後礼のメールや手紙に蹲踞の水音のことを書いてくださった方がいらして、嬉しいです・・・。(つづく)


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仕覆が届きました・・・

2019年04月20日 | 茶道具

       季節が進み、八重桜が満開です


三溪園「春のクロスロード茶会」が終わり、はや1週間。
そろそろ疲れも癒え(歳のせいか、なかなかでした・・・ショボン)、片づけも一段落したので茶会のことを書いておこうと思います。
先ずは茶入の仕覆から始めたいと思います。

茶会4日前の早朝、NYさまから仕覆と古帛紗が届きました。
ちょうどその日は最後の”出稽古”だったので、新調の仕覆を着た茶入で本番を想定した濃茶のお稽古が出来て、グッドタイミングでした。



去年の暮れにNYさまに薩摩焼(帖佐焼)の茶入の写真を送り、恐る恐る・・・仕覆を作っていただけないかしら? とメールしました。
すると、
その1
お仕覆の件、画像を拝見いたしました。
袋を掛けてあげたくなる茶入ですね。
1月に手術のため入院し、その後1ヶ月くらいは会社をお休みする予定があります。どうぞ、ご心配は不要です。
お渡しは、ぎりぎりになるかも知れませんが、お預かりしたいと思います。
確かに間道が合いそうですね。
実際に、裂を当ててお茶入に相談してみないとわかりませんが、楽しみにしています。      NYより



        薩摩焼(帖佐焼)の茶入

その2
昨夜、お茶入確かにお受け取りいたしました。
お茶入には、我が家で年越しをしていただき、春までゆっくりして頂こうとおねがいしてみました。
どうか、よき年をお迎えくださいませ      NY



・・・と言うわけで、手術の無事をお祈りしながら、茶入をお預けし春を迎えました。
ぶらり訪れたNYさまのブログに「初心に帰る」と題して仕覆づくりのことが書かれていました。
すぐに我が薩摩焼(帖佐焼)茶入の仕覆づくり・・・とわかり、毎回楽しみに仕覆づくりの工程(1~6まで)を拝見しました。
暁庵も以前仕覆を作ったことがあるので、NYさまと一緒に(気持ちだけ手伝って・・・)作っているような不思議な体験でした。
そして・・・何にも言わなかったけれど、術後で腕の動きが不自由だったことをこれもブログで知り、茶会に間に合うように作ってくださったNYさまの御気持に感謝でいっぱいになりました(・・・


      「シマモール」の仕覆を着た茶入

古裂コレクターでもあるNYさまが茶入と相談して選んでくださった裂地は、表地が「19世紀頃の東南アジア(明確な産地は不明)のシマモール(木綿)」、裏地は海気です。
「シマモール」がよくわかりませんでお尋ねすると、次のようなメールを頂き、なんとか茶会でもお話しできそうです。





その3
シマモールについてご説明致します。
実際に仕覆に使ったのは、モール部分ではありませんが、布端などはモールの構成になっています。モール+シマ+無地の構成です。
格子なのにシマ?と思われるかも知れませんが、格子模様も縞模様も総じて縞物と呼びます。格子は縞の一部なのです。
またこの縞物のシマは、島物のシマでもあります。
島とは、東南アジアの島から伝来したという気持ちが込められております。
そのため、シマモールと申し上げました。
これで、大丈夫でしょうか?
ぎりぎりになってしまって、申し訳ありませんでした。
本番がうまく運びますこと、こっそりお祈り致しております。    NY


NYさま
素敵な仕覆を作ってくださって、ありがとうございました!
天気にも恵まれ、皆様のお蔭で無事「クロスロード茶会」を終えることが出来ましたことをご報告し、感謝申し上げます。



「春のクロスロード茶会」薄茶席のリハーサル

2019年04月08日 | 暁庵の裏千家茶道教室

  前の公園にある「私のさくら」が満開になりました(4月6日撮影)


4月13日(土)に横浜三溪園で「春のクロスロード」茶会を開催します。
春草廬(濃茶席)と蓮華院(薄茶席)の二席ですが、どちらも暁庵お気に入りの茶席です。
お客さまと茶会スタッフを合わせて総勢50人、ブログからも15名様が応募して下さり、感謝しております。

今日は茶会のために稽古に励んでいるフタッフのあれこれを書いておきたいと思います。

仕事をしながら茶の湯の稽古をしている方が多いので祭日を選び、3月21日(木・祭)に薄茶席のスタッフが集まりました。
皆で顔を合わせ、当日の打ち合わせやリハーサルをするためです。
暁庵と入門したばかりのSYさんが客になり、受付やクロークで担当のTさんとHさんに荷物を預け、茶室へ入りました。

最初の点前はKTさん、席主はN氏です。
席主挨拶のあと、干菓子が運ばれ、点前が始まりました。
KTさんのお点前が粛々と進む中、時々ストップがかかり、水屋方との打ち合わせが入ります。
半東が2碗目の茶碗を出すタイミング、水屋から3碗目の茶碗を点てて持ち出すタイミングなどを話し合いました。



  散歩道のさくら・・・畑の中に突如素晴らしい桜並木が現われます
  (4月7日に撮影、花見客は二人だけです)

続いてKさんとUさんにお点前とお運びの稽古をして頂きました。
6畳の広間ですが、狭いので中に入るお運びは一人だけとか、リハーサルをしてみて変更することも多かったです。

通常の茶会ではお点前さんが2服を点ててすぐに仕舞い付けをしますが、今回は小寄せの茶会なので3服まで点ててはどうかしら?と議論になりました。
まだ末客が薄茶を頂いていないうちにお仕舞にすることが多いのですが、そこまで急いで仕舞い付けにすることもないのでは?と思ったのです。
少人数の良さで薄茶も道具拝見も時間の許す限りゆっくり(?)して賞味して頂ければ・・・と。

薄茶席席主のN氏とFさんが当日と同じ茶道具を準備してくださったので、稽古をすることで馴染みながら覚えて頂きました。
特に茶碗は7名のお客さまに合わせて7椀が出るので覚えるのが大変かも・・・・・・・・



最後に薄茶席の席主N氏から次のような質問が・・・・
「先生、クロスロードってどういう意味ですか?」
咄嗟に「クロスロードは交差点という意味です」と答えましたが、いえいえそうではございません・・・。
ブログの名前を「暁庵の茶事クロスロード」としたのは、暁庵の茶事がお客さまと暁庵、さらにお客さま同士の御出会いの場になれば・・・と願ってのことでした。
「クロスロード茶会」が新たなご縁、再会のご縁、お客さま同士のご縁、スタッフ同士のご縁が結ばれる素敵な場になれば・・・と心から願っています。

茶会まであと6日となりました。
当日晴れることを仏前で祈りながら日々を過ごしています。


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