暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

Oさん、「また、来なはいや」

2016年07月07日 | 暁庵の裏千家茶道教室
 

今日は7月7日、七夕(新暦)です。
スウェーデンへの帰国が迫った7月2日(土)、Oさんの最終稽古と送別会をしました。

この日のお軸は
「応無処住 而生吾心」 

読み下しは、
 応(まさ)に住する処を無くし 
 而(しか)もその心を生ずべし

足立泰道師の筆で、「金剛経」の一節です。

  

私たちの周りには大小無形の柵(しがらみ)があり、いつの間にかそれらに心を縛られていますが、
「心をとらわれることなく、あるがままに自由自在にその心を向けよ」

暁庵からOさんへのはなむけのメッセージです。
お茶の神様のご配慮で、日本で暁庵と出会ったのですから、これを機会に
Oさんの自由自在なお茶の世界を自分の環境を活かして作り出してほしい
・・・と願っています。

 

最終稽古は、Oさんの希望で初炭手前と唐物、それとFさんの茶通箱の客でした。
スウェーデンでは炭が入手しにくく、風炉の炭手前はほとんどしたことがないそうです。
スウェーデンに限らず日本でも、くぬぎ炭、枝炭それに香まで高騰して頭が痛いところですが、茶事では炭手前が欠かせません。
それで、果敢に初炭手前に数回挑戦して頂きました。

茶事を前提にした稽古なので、濃茶ではお菓子を運び出した後に
「どうぞお菓子をお召し上がりください。
 席を改めたく存じますので、お菓子をお召し上がりになりましたら
 先ほどの腰掛待合へ中立をお願い致します」
「それでは中立させて頂きますが、ご用意が整いましたら
 どうぞお鳴物でお知らせください」
「ことによりましたら・・・そのようにさせて頂きます」

紋切型の問答ですが、本番ですらすら言えるように稽古で言ってもらっています。
箱根の稽古茶事へ参加したので、問答の大切さがわかりましたが、
 ・・・・やってみると難しいです」とOさん。

最終稽古の後、社中が集まり、イタリアンレストランでささやかな送別会をしました。
白ワインを傾け、美味しい前菜、ピザ、パスタ、スペアーリブのステーキなどをパクつきながら、ワイワイ愉しく過ごしました。
7月7日に帰国ということで、今頃は飛行機に乗って天の川を横切っているかしら・・・。  


「ほおずき」(神楽坂・梅花亭)と半泥子の茶碗で一服

来日の折は教室へ顔を出して、美味しいお茶とお菓子とたくさんの好い刺激を味わってください。
スウェーデン語の「さようなら」を教えてもらったのですが・・・う~ん、出て来ません。
Oさん、「また、来なはいや」 (愛媛県南予地方の方言)  


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奥の細道会・・・利休さまに見守られながら

2016年07月06日 | 自主稽古(京都編)&奥の細道会


7月1日は奥の細道会でした。
奥の細道会は奥伝の勉強会で、月1回、ときどきお休みを取りながらも続けています。

床は先日の許状式のまま、利休居士の画像と鵬雲斎家元(現・大宗匠)の賛があるお軸を掛けました。
めったに掛けないお軸ですし、利休さまに奥伝の稽古を見て頂くのも励みになるのでは・・・と思ったのです。
花(水引と岡トラノヲ)、香(沈香)、蝋燭、菓子(和三盆)を供え、赤楽茶碗に湯を入れ、薄茶を一杓撒いてお供えしました。



その日は4名、最初に台子初炭手前をさせて頂きました。
次いで、行之行台子をNさんとAさんが修しました。
ここで昼食の休憩が入り、午後にKさんが唐物をなさいました。
            
誰も先生はいませんが、それぞれの方がそれぞれの思いで点前をします。
「久しぶりに緊張感を感じながら点前をさせていただきました」
(陰の声・・・緊張感ってとても大事ですよね。そして、人前で点前することも・・・)
「唐物の返し方はこれで良かったかしら?}
(陰の声・・・返し方一つでもいろいろな考え方があり、勉強になりました)
「唐物茶入のご伝来は?」
(陰の声・・・行之行台子にふさわしい伝来が語られ、実際のシーンが浮んでくるようでした)



素晴らしいお仲間と共に奥の細道をたどる充実感を感じておりましたら、Aさんから葉書が届きました。

   この度初めて奥の細道会に参加させて頂き、
   充実したひと時を誠に有難うございました。
   利休様の御前で、やはりこの道をどこまでも進んでいこうと
   初心を新たにいたしました。
   日頃愛する昼顔の花が神々しいまでの姿で迎えてくれ感動でした。
   また香之図棗にさり気ない励ましを感じ心にしみました。
   たどたどしい歩みですが精進致しますので、どうぞご指導のほど
   よろしくお願い申し上げます。    かしこ   Aより

  (陰の声・・・Aさんに参加して頂いて嬉しいです。
   ご一緒にゆっくり歩んでいきましょう。
   こちらこそご指導を宜しくお願い致します)



  昼顔をやな籠に

最後に恐れ多くも利休さまに講評をお伺いしてみましたところ、
全員が次のようなお声を聞いたような・・・
「「他時定作鳳凰児」(他時定メテ鳳凰ノ兒(ほうおうのこ)ト作(な)ル)には道遠し。
 心を定めてしっかり精進しなさい」

                       みんなで             
     

許状式(上級の引次)を終えて・・・

2016年07月04日 | 暁庵の裏千家茶道教室




梅雨の最中ですが、6月29日(水曜、大安)は暁庵の茶道教室の許状式でした。
昨年8月の入門以来、熱心に通ってくださったYさんが上級(引次、行之行台子、大円草)の許状を拝受しました。
誠におめでとうございます!!

前回の許状式と同様、なるべく社中の方にも参席して頂いて、皆でYさんの許状式をお祝いしたいと思いました。


我が家の木槿(日ノ丸)が咲きだしました

午前中に台子の初炭手前と薄茶点前を稽古して頂き、許状式は14時からです。
立会人はOさん、Kさん、Fさんの3人、待合からFさん(詰)が打つ板木の音が聞こえてきました。
氷入りの梅ジュースを運ぶと、汲み出しと氷が涼やかな音を奏で、蒸し暑さの中にほっとする一瞬です。
雨が続いたので外の蹲踞はあきらめ、玄関先の仮の蹲踞で心身を浄めて頂き、Yさん、Oさん、Kさん、Fさんの順に席入です。



床の軸は、利休居士の画像(土佐光孚(とさみつたか)画)と鵬雲斎御家元(現・大宗匠)の賛があり、
   今日親聞獅子吼  
   他時定作鳳凰兒       宗室(花押)


読み下しは、
   今日親シク獅子吼(ししく)ヲ聞ク
   他時定メテ鳳凰ノ兒(ほうおうのこ)ト作(な)ル


前回と同じようなお軸の話をしたのちに、坐忘斎御家元に代り、不肖暁庵が許状を読み上げ、Yさんにお渡ししました。
Yさんから御心こもるお礼の挨拶を頂戴し、これからの更なる精進が楽しみでもあります。
3人の立会人からもお祝いの挨拶があり、Yさんもきっと心に期すものがあったことでしょう。


            
次に、暁庵が行之行台子を引次しました。
1週間前から稽古していたので、何とか身体がスムースに動くことができ、ほっとしています。
・・・それに何かを、点前手続きだけでない、言葉にならない何かを伝えたい・・・と思いました。

「許状式は初めてで、短い来日中にこのような貴重な経験ができて好かったです」
「お稽古で注意されていたことはこういうことだったのか・・・と有難く思いました」
「先生のお点前を拝見してとても感動しました。これからの目標が出来ました」
という言葉が素直に嬉しく、何かが伝わったようです・・・ 


Yさんから頂いた「感謝」・・(こちらこそありがとう!) 


菓子は、紫陽花(きんとん、暁庵製)、おちこち(竿物、両口屋是清)、沢の翠(竿物、両口屋是清)、蒟蒻のピリ辛煮、さくらんぼ(佐藤錦)の5種を縁高でお出しし、濃茶は寿の昔(奥西緑芳園)でした。

待合(椅子席)へ席を移し、吸い物・八寸でお祝いの一献、賑やかに笑顔があふれ、愉しいひと時です。
早や、Yさんの帰る時刻が近づいてきました。
Fさんの台子薄茶点前で薄茶を喫んで頂き、遠くへ帰るYさんを見送りました。
                                 

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