暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

浅草伝法院の茶会(2)  富士庵流茶会

2010年04月21日 | 茶会・香席
  (つづき)
茶会は富士庵流の同門茶会でした。
粗忽者の私は当日、友人から茶券をいただくまで
どこの流派の茶会か知りませんでした。
富士庵流という流派と始めて出逢ったのでした。

お点前や足の運びなどを拝見すると、表千家流に近いのですが、
棗を帠紗で清めた後の構えやキリッとした所作は武家茶のようです。

二席目に「天佑庵」席へ入りました。
三畳台目の「天佑庵」ではなく、付随している八畳の茶室がお席でした。
一畳の床には「拈花萬国春(ねんげばんこくのはる)」、
金閣寺の泰山和尚筆です。
ユキモチソウが生けられ、山国の春の到来を感じさせます。

菓子は「桜前線」という銘で特別に注文されたとか。
若緑に桜を表すピンクの一線が印象的な煉り切りでした。
「桜前線は今頃は東北でしょうか?」
散り去ったソメイヨシノを惜しみながら、北国の満開の桜へ
美味しい薄茶を頂きながら思いを馳せました。

               

不審庵写しの「天佑庵」のことを席主へお尋ねすると
「一席の人数が多いのでこちらを使いましたが
 にじり口を開けますので、帰りにご覧になってください」
と、気さくに対応してくださいました。

にじり口からあわただしく覗き見しましたが、
細長い三畳台目の茶室は明るく新しい感じでした。
床の位置、白い和紙が張られた床脇の給仕口、
天井の突き上げ窓、差し込む鈍い明かりが印象に残りました。

肝心な点前座は荷物が積まれて全く見えず、
心を残して「天佑庵」を去ることになりました。
またの機会を気長に待つことにしましょう。

富士庵流茶会はどの席もゆったりとした感じがしました。
なぜかしら?
伝法院の広々とした書院が持つ、開放感からでしょうか。
全体の人数が他の大寄せ茶会より少なく、
一席待てば入れますので、四席入る事が出来ました。

菓子も薄茶もゆっくり賞味することができましたし、
お道具は箱書きではなく、席のテーマに添って吟味したもので
すっきりしていて好ましく思いました。

来年の富士庵流茶会も友人と一緒に是非伺いたいと思っています。

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  写真は、「天佑庵の腰掛待合」と「天佑庵席(広間)」

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