暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

浅草伝法院の茶会(1)  天佑庵

2010年04月19日 | 茶会・香席
東海道ハイキングの帰りに、バスで偶然出逢った友人から
茶会へ誘われました。
「4月に茶会があるけれど、ご一緒にいかが?」
「茶会ねぇ・・(実は茶会は敬遠気味なのです)
 いつ、何処でするの?」
「去年友人に誘われて初めて行った茶会がとても良かったの。
 4月18日(日)、場所は浅草の伝法院・・」

「行きます!ご一緒させてください!」
場所を聞いてすぐに行くことに決めました。
伝法院は、茶室「天佑庵(てんゆうあん)」がある浅草寺の本坊で、
今まで中へ入れる機会がありませんでした。
しかも、茶会は五席あり、その中に「天佑庵」が含まれているそうです。

天佑庵は、天明年間(1781-1789)に尾張名古屋の茶人・牧野作兵衛が
表千家の不審庵を写して造った茶室です。
不審庵写しとしては最古と言われています。
その後、向島の徳川圀順邸、上目黒の津村重舎邸と変遷を重ね、
その間、関東大震災や第二次世界大戦による被災を奇跡的に免れました。
昭和33年10月に五島慶太氏や浅草寺婦人会の尽力によって
伝法院へ移築され、「天佑(天のたすけ)庵」と名付けられて
現在に至っています。都の重宝に指定されています。

               

名古屋から向島の水戸徳川家への移築には、
東都茶会記の筆者・高橋箒庵が深く関わっていて
地名に因み「嬉森庵(きしんあん)」と名付けられました。
大正5年(1916)12月に高橋箒庵が亭主となり、
益田鈍翁、原三渓らが招かれた茶室開きの様子が「茶会漫録」に
益田鈍翁手記・野崎幻庵併記で書かれていて興味深いです。

益田鈍翁はその席の様子を次のように記しています。

(前略)・・次に席の全体に目を放てば、新席にてしかも新席にあらず。
最も時代ある三畳台目なるが、庵主の出入口は普通の式とは反対の側にあり、
かれこれ不思議に思いおる折柄、庵主(箒庵)はその出入口をあけてヌッと出で、
三四歩進みたる処にてくるりと廻りて挨拶す。・・(後略)

さて、茶会当日、友人に連れられて伝法院通りにある大きな黒門の
脇にある通用門から伝法院へ初めて入りました。
そこは雷門や仲見世の賑わいから想像できない静かな別天地でした。

しだれ桜と若葉を美しく水面に写す池泉廻遊式庭園は
寛永年間に小掘遠州によって作庭されたと伝えられています。
茶会は素晴らしい庭園に面した大書院で二席、新書院で二席、
そして天佑庵の五席で行われていました。

         (次へ)                  

 写真は、「天佑庵」と「小掘遠州作と伝える庭園から大書院を望む」

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ジバゴ)
2010-04-19 11:06:52
昨年十二月の感服係の記事コメントで「天佑庵」を見てみたいと仰っていたのが実現出来て良かったですね。いつか機会があればこの茶会に参加したいと思いますので茶券ゲット方法をご教示くださると幸いです。。

私は前日17日に三溪園大茶会に行って来たところでした。当日は朝から雨で寒くて大変でしたが、9時の開園前には門の前に50人ほどが並んでいました。席主の話では天候のせいで例年に比べ出足が悪いと仰ってましたが16日はさらに天気が悪かったのでお気の毒でした。

ご存知の様に、この茶会は表千家、裏千家、武者小路千家、江戸千家、遠州流の各五流派が園内にある各茶席を受持っております。これまで見た事がない流派の作法が見られて軽いカルチャーショックを受けて幾分視野が広まったかなと思います。茶会は隔年開催でこの次は23年秋に鳴るかと思いますが再度参加します。
返信する
茶会と茶券 (暁庵)
2010-04-23 00:36:37
ジバゴさま、コメントありがとうございます。
三渓園の五流派茶会へ行かれたようですね。茶室はどこが使われたのでしょうか?

知らない流派の茶会も興味深いことですが、
一番の楽しみはいつもは入れない茶室でオイシイお茶とお菓子が頂けることでしょうか。
昨年秋の春草廬・有楽茶会以来、次々と「茶室」へ導かれるようにご縁があり、内心驚いています。

「天佑庵」へもこの度ご縁があり、良かったです。
富士庵流茶会は毎年4月半ば頃に伝法院で開催されるそうですが、茶券ゲット方法は?です。
わかりましたら、メールいたしますね。気長にお待ちください。
返信する
Unknown (ジバゴ)
2010-04-23 23:11:17
茶室のお問い合わせにお答えします。

白雲邸 表千家同門会 神奈川支部
臨春閣住之江の間 遠州茶道宗家
臨春閣天楽の間 江戸千家宗家
月華殿 裏千家淡交会 横浜支部
鶴翔閣 武者小路千家 神奈川官休会
(会記順)

尚メールは某真MLサイトのジバゴ宛でお願いします。
返信する
五流派茶会 (暁庵)
2010-04-24 18:29:29
ジバゴさま、コメントありがとうございます。
臨春閣での茶会はとても羨ましく思いました。
いつもは見学だけですので・・・。
今年のGWに臨春閣と聴秋閣が一般公開されるようですね。
ご存知と思いますが、お知らせします。

 期間 2010年4月29日(木・祝)~5月5日(水・祝)

■ 公開する建物
   臨春閣(重要文化財) 慶安2年(1649)建築 (大正6年園内移築)
   聴秋閣(重要文化財) 元和9年(1623)建築 (大正11年園内移築)

※内苑奥の渓谷遊歩道も開放します。
※聴秋閣は小さな建物のため、内部への立入はできません。
また、臨春閣の2階は構造上公開を控えさせていただきます。予めご了承ください。

臨春閣の2階は写真で見ただけですので、一度上ってみたいです。

メールの件、承知いたしました。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。