暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

名残りの稽古茶事を終えて・・・(3)

2019年10月23日 | 社中の茶事(2018年~)


  後座の花 白木槿 杜鵑 藤袴   花入 韓国製・杼(ひ)の釣り舟

つづき)
銅鑼が大小大小中中大と打たれ、後座の始まりです。
茶事は濃茶にあり・・・と言われていますが、美しいお点前でよく練られた美味しい濃茶を差し上げたことでしょう。
濃茶は「松花の昔」(小山園詰)です。
肩衝茶入は丹波焼の石田陶春造、茶杓は銘「無一物」(玉瀧寺明道師)、今回の名残りの茶事のために求められたという茶入と茶杓でした。
仕覆は二重蔓牡丹唐草です。


   ご亭主お心入れの茶入、茶杓、仕覆です


   濃茶茶碗は「魚々屋」写  山清窯ミン・ヨンギ造

濃茶のあとは続き薄茶で、お点前は半東Uさんが勤めました。
旅の思い出が詰まった唐津焼と萩焼の茶碗で2服ずつ、楽しくお話も弾み(弾み過ぎ?)薄茶タイムを堪能されたようです。

暁庵には席中の様子がわかりませんが、しっかりしたご亭主の様子を拝見していると、稽古茶事ではなく茶事にすれば良かった・・・と安心していました。
それにお正客SAさまはじめお客さま方がご亭主の心に寄り添って、座を盛り立ててくださったことでしょう。


   旅の思い出が詰まった朝鮮唐津の茶碗    山口雲仙作


茶事終了後に今回初めて茶事を経験された三客SYさんから下記のお手紙を頂戴しました。
嬉しく拝読し、お手紙から茶事の様子をあれこれと想像しています。 

 
暁庵先生
秋の花々が咲き出し、透き通る風が心地よい季節となりました。
先日はお茶事のお稽古に参加させて頂き、有難うございました。
寄付き待合での皆様へのご挨拶に始まり、美味しく素晴らしい懐石料理、数々のお道具、心躍ることばかりでした。
中でも腰掛待合、露地の風情、可憐に咲いている秋明菊に心奪われました。
十月とは思えない暑さの中、秋の風を感じさせてくれました。

また、お濃茶席では静かにお茶が練られる音のみが響き、とても厳かな気持ちと、ご亭主KTさまの暖かな雰囲気が相まって、こんなに心地よい空間があるのだな・・・と、今もまた思い出しているところです。

ただ、お客様としての作法は何一つ満足に出来ず、皆様にもご迷惑をおかけし申し訳なく思いましたが、少しでも皆様の後についていけるよう学んでいきたいと思っております。
N様はじめ先輩方皆様には色々ご指導頂き、また先生にはこのような貴重な機会を頂き、感謝の気持ちで一杯です。
有難うございました。       SYより 



       萩焼の茶碗    納富鳥雲作


最後になりましたが、KTさん、お茶事のご成功、誠におめでとうございます!
これも長年のご精進の賜物と存じます。
もちろん反省点は多々あると思いますが、それらを大事にして次回に生かしてください。
お正客SAさま、お客さま、半東Uさん、懐石Yさん・・・たくさんの方々がご亭主を応援してくださったことを忘れないでください。

皆様、これからもお茶事を大いに楽しんで励んでくださいね。



       初雁香合とつけぼし香

忘備録として会記を記します。
  待合  
   床    「秋耕」   野沢蓼州画  
   煙草盆  春慶塗香座間透 
   火入   染付 冠手

  本席(初座)
   床    「日々是好日」  前大徳 柳生 紹尚筆
   風炉   鉄やつれ風炉(中置)
   敷板   織部      
   釜    糸目桐文車軸   長野 新造    
   炭斗   認得斎好み松山篭
   羽根   シマフクロウ
   火箸   以岡山城大手門古釘      
   香合   初雁    前畑春斎作
   香    つけぼし香    

  本席(後座) 
   床    花   白木槿  杜鵑  藤袴   
        花入  韓国製・杼(ひ)の釣り舟
   細水指  青磁釉  京焼        
   茶入   肩衝  丹波焼   石田陶春造
   仕覆   二重蔓牡丹唐草  
   茶碗   今高麗 魚々屋写  山清窯 ミン・ヨンギ造
   茶杓   銘「無一物」   玉瀧寺明道
   棗    秋草文化粧壷  
   茶碗(薄茶) ①朝鮮唐津  山口雲仙作
          ②萩焼    納富鳥雲作
   蓋置   竹        
   建水   赤膚焼    
   濃茶は「松花之昔」(小山園)、薄茶は「金輪」(小山園)です。



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