暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

2020年 口切の茶事・・・(3)花と後座

2020年12月10日 | 社中の茶事(2018年~)

 

(つづき)

中立の間、亭主と半東は大忙しです。

床の掛け物を仕舞い、花を生け、点前座の水指や茶入を莊り付けます。

「花は足でいけるのよ」とN先生がよくおっしゃっていましたが、亭主方は心に叶う花を求めて四方八方へ手をつくし、足を運びます。

口切には照葉と椿の組み合わせが無難なのですが、「炉開きと口切の会」でも照葉と白玉椿だったので、実のものを使って雰囲気を変えたいと思いました。それからKTさんとあれこれ探しましたが、なかなか花に出合いませんでした。

「先生、これ使えますか?」

花屋さんで見つけたという野ばらの実でした。真っ赤な実が野趣とエネルギーを感じて素敵です。でも、これだけだと・・・動きが出ないかしら?

前日に白玉椿を採りに出かけた時、土手のような斜面上にオレンジ色の実を見つけました、探していたツルウメモドキです。

「天の助けだわ! これでイメージに叶う花が活けれそう・・・」と思い、果敢によじ登りました・・・。

朝のうちにKTさんに活けてもらい、中立で調えました。花入は揖保川焼、池川みどり作です

 

  (後座の床の花・・・白玉椿、野ばらの実、ツルウメモドキ)

 

壷飾りは半東の仕事です。吉野山が花盛りの景を正面にして飾り紐を結びました。

  大・・・小・・大・・小・・中・中・・・大

KTさんの打つ銅鑼の音色が心に染み入るように響き、後座の席入りです。

濃茶点前が始まり、しばし静寂な時が流れ、茶香が茶席に満ちる頃、各服点なので四客Iさまと詰M氏の2碗を水屋で練ってお持ちしました。

正客Oさまの黒楽は一入作の銘「不老門」、縁あって暁庵の所へ来てくれた茶碗なので年に一度「口切の茶事」で使っています。久々の登場で茶碗も嬉しそうでした。

次客Yさまは古唐津、三客Hさまは大樋焼飴釉、四客Iさまは御本三島、詰M氏は御本雲鶴の茶碗で濃茶をお楽しみいただきました。

 

       (濃茶の主茶碗・・・楽一入作)

茶入はご亭主の初めての茶事の思い出に充ちた丹波焼肩衝(石田陶春造)、仕覆は二重蔓牡丹唐草金襴です。

茶杓は銘「閑座」西垣大道師作で、初座の御軸「點笑(てんしょう)」と共に、コロナ禍であるからこそ「笑いを絶やすことなく」「心閑かに座してお茶を愉しんでいただければ・・・」という願いが込められています。

 

後炭になり、後炭のキラキラした炉中や時を物語るような白炭の風情をあれこれ想像していました。あとで伺うと、「胴炭がきれいに割れました・・・!」

稽古の時は割れなかったので「ヨカッタ!」、後炭の最高のご馳走だったのでは・・・と思います。

 

   (後炭の稽古の時の写真です)

薄茶になり、煙草盆と干菓子が運び出され、座が和やかな雰囲気になりましたが、長時間の正座で足の方も悲鳴をあげていたようです。もっと早くに閑座をお勧めしていれば・・・と悔やまれます。

各服点なので四客様とお詰様の薄茶を水屋で点ててお持ちしました。

暁庵も席に入らせて頂き、お話の輪に加わり、しばし心豊かな時間をご一緒しました。

     (薄茶点前・・・数日前の稽古の時に)

       (薄茶の主茶碗・・・朝鮮唐津)

こうして皆さまのお陰で2020年口切の茶事が無事に終了しました。

とても充実した時間でした・・・亭主KTさんもきっと・・・

お客さま、KTさん、佐藤愛真さん、本当にありがとうございました!

また来年も「口切の茶事」が出来ますように・・・懲りずに願っております。

 

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