暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

2020年炉開きと口切の会・・・(1)

2020年11月10日 | 暁庵の裏千家茶道教室

    (上越国境の苗場ドラゴンドラからの紅葉   11月3日撮影) 

 

2020年11月7日(土)に暁庵の裏千家茶道教室の「炉開きと口切の会」が行われました。

5日まで上越方面へ旅行に出かけていたので、前日はてんてこ舞いでしたが、当日は社中の皆様がキビキビと手伝ってくださって助かりました。その姿は頼もしく皆様の成長ぶりを感じて嬉しかったです・・・

「口切の茶事」は茶人が最も荘重に催す茶事で、当年の新茶を口にできる喜びを分かち合う、新年を迎えるようなお祝として執り行われます。そのような「口切の茶事」へお招きされることは茶人にとって望外の喜びとされています。

今ではいつでも抹茶を手に入れることが可能になりました。そのため新茶を茶壷に入れて保存し、11月になって茶壷の口を切るという、伝統的な口切の行事はほとんど行われていません。

しかし、その口切の行事を「口切の茶事」という形で残したい、茶道を学ぶ方々に伝えていきたいと思い、暁庵の茶道教室では炉開きのお祝いと口切の茶事稽古を兼ねて「炉開きと口切の会」を開催しています。茶事形式で行い、毎年交代でいろいろなお役を担当してもらいます。

 

当日は10時30分に待合集合でした。

茶人の正月にふさわしく、素敵な晴れ着でいらしてくださり、「炉開き&口切の会」らしいお目出度い雰囲気が漂います。
男性二人も茶人の正装である、N氏は十得、M氏は袴姿で、きりりと座を引き締めてくれました。
(私の装いは茄子紺に草花模様の付け下げ、銀地に白鳥の帯・・・忘備録です。書いておかないと毎年同じ着物になりそう・・・)

2020年の詰はM氏、板木の音が気持ちよく5つ打たれ、初座の半東Kさんが梅昆布の入った汲出しをお出し、腰掛待合へ案内しました。

初座は正客から順にN氏、KTさん、Aさん、SYさん、詰のM氏、亭主はUさん、半東はKさんでした。

後座は正客から順にN氏、Uさん、Aさん、Kさん、M氏、詰のSYさん、亭主兼半東はKTさんで、暁庵は遊軍です。

 


待合の掛物は「開門多落葉」の短冊、前大徳・朴堂和尚の御筆です。

この詩(作者は中国・唐時代の詩僧・無可)は対句になっていて

    聴雨寒更盡

   開門落葉多

読み下しは、雨を聴いて寒更(かんこう)尽き、門を開けば落葉多し。

「夜もすがら雨と聴いたのは、戸(屋根)を打つ落葉の音であった」

晩秋のわびしい山居の佇まいが彷彿されますが、前日の我が家の庭もまさに「開門多落葉」でした。

降り積もった落葉を片付けるべきか否か、迷いながら掃除し、後は落葉にお任せすることにしました。

 

 

初座の亭主Uさんが迎え付けへ出ます。

Uさんは10月に行われた「赤毛のアンの茶事」で亭主をされたのですが、

「あの時は雨で迎え付けが出来なかったので、今度はぜひ迎え付けをしたいです」と張り切っています。

・・・それで、天気予報ばかり気にしていましたが、午前中は晴れたので一安心。でも中立の頃に雨がぱらつき、あわてて腰掛を片付けました・・・。

蹲の水が撒かれ、水桶から蹲に注がれる水音を聞きながら、急いで炉に濡釜を掛けました。

亭主Uさんがお一人お一人とご挨拶した後に、正客N氏から待合と床の掛物についてお尋ねがあり、暁庵がお応えしました。

床の掛物は「喜 無量」、紫野・教堂宗育和尚の御筆です。

コロナ禍にもかかわらず、社中有志が無事に一堂に会し、今年も「炉開きと口切の会」が開催できるとは、なんと!有難く嬉しいことだろう・・・まさに「喜 無量」であり、このお軸しか思い浮かびませんでした。

「ご都合により茶壷の拝見をお願いします・・・」正客N氏からお声が掛かりました。(つづく)

 

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