(本席の行灯・・・今回はスズメ瓦は使わず蝋燭を灯しました)
2月5日(土)の早朝、暁の茶事をしました。
昨年はコロナウイルスの緊急事態宣言のため中止しましたが、今年はいざ決行!です。
・・・それは、暁の茶事を行うための残された時間が少ないことへの焦りもあり、もしかしたら最後の暁の茶事になる可能性も・・・と覚悟しながら、次のようなご案内のお手紙を差し上げました。
「暁」は 「明時」あかときの転じた言葉で
夜半から夜の明ける頃までを言うそうです
そんな「暁」に この世に生をうけた私は
縁あって茶の湯の世界へ導かれ 特に茶事に心惹かれて歩んで参りました
そして漠然と 最後は暁の茶事で幕を引けたら・・・と。
数年前から残された時間がないことにやっと気が付き 暁の茶事をはじめました
今回で2回目ですが 試行錯誤を楽しんでいます
暗闇と寒さ 障子の彩り 灯りのゆらめき 炭火のかがやきなど・・・
刻々とすべてが移り変わる中で
心を込めて御茶一服差し上げたく 謹んでご案内申し上げます
万事いたらないことでございますが 御来庵をお待ち申しております かしこ
令和四年睦月吉日 暁庵
2022年(令和4年)2月5日(土)4時45分に待合集合、5時席入りです。
お客さまは4名さま、お正客Iさまは東京、次客Iさまは横浜市内、三客Aさまは藤沢市、詰M氏は川崎市から車やタクシーで馳せ参じてくださいました。
なるべく水屋も暗くしてお待ちしていると、板木が1つ打たれました。お客さまがいらしたようです。
玄関の小上りでアルコール消毒をし、板木を1つ打ってお入りくださいと予めお願いしてありました。
待合の掛物は「灑雪庵」(さいせつあん)(泉奏書)。
隙間から雪が降りそそぐような京都の古家を「灑雪庵」と名付け、この書を額に入れ玄関の土間に掲げていました。京都の2月は一段と冷え込みますが、その寒さを愛でてよく茶事をしました。横浜へ戻ってからこの書を表装し、久しぶりに「暁の茶事」で掛けてみました。
板木が4つ打たれ、お客さまが全員到着したようです。市販の甘酒に少し砂糖を加えて甘みを調節し、絞り生姜を垂らしてお出ししました。汲出しは志野焼(青木念作)です。
「甘酒をお飲みになりましたら、腰掛待合へお出ましください。寒いのでショールなどの防寒具をどうぞ・・・」と自分でご案内しました(一人亭主なので・・・)。
腰掛待合には輪胴4つを入れた大火鉢を用意しました。普段は無用の長物ですが、夜咄の茶事や暁の茶事では「この時を待ってました!」とばかり大活躍で嬉しいです。
ベランダの腰掛待合には足元行灯が1つ、露地には足元行灯3個を配置し、蹲近くの織部灯篭にも灯が入りました。腰掛待合は少し暗めですが、ここにお正客さまの手燭が加わります。
湯桶を湯桶石に置き、手燭と手桶を持って蹲に向かいます。湯桶の温度を手桶の水で調節し、それから蹲の水で辺りを清め、心身を清め、手桶の水を一気に蹲に流し込みました。
いよいよ迎え付けの手燭交換です。
厳寒の真っ暗な中、枝折戸を開け、手燭の灯に照らされてお正客I様と顔を合わせ、清々しく厳粛な気持ちで手燭交換をし、無言で礼を交わします。
今まで手燭交換の意味など考えたこともなったのですが、もしかしたら「茶事の間、お互い何か大事なものをあなたにお預けします・・・」ということかもしれません? 大事なものとは、う~~ん? (つづく)
暁の茶事 in 2022 ・・・(その2)へつづく (その3)へ