暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

「転勤族 水無月の茶事」を終えて・・・(3)懐石

2021年07月15日 | 社中の茶事(2018年~)

  (向付  コチ湯引き 水玉胡瓜 花穂紫蘇 梅醤油)

(つづき)

当初、懐石は暁庵が担当するつもりでした。

しかし「薔薇の茶会」のあとに体調を崩したこともあり、懐石をお願いする方を探していました。

小梶由香さんは「薔薇の茶会」で初めてお会いした方で、EKさんの友人です。

「小梶さんは懐石をなさるのよ」というEKさんの紹介の一言がご縁となり、「お役に立つなら喜んでお引き受けします。一生懸命努めさせていただきます」と引き受けてくださったのです。

「先ずお互いに知り合うことから始めましょう・・・」と、リハーサルに打ち合わせを兼ねてお付き合いしてもらいました。

転勤の先々に因む食材を取り入れるなど、ご亭主の趣向に添った料理を考えてくださって、どんな懐石になるのかしら?と楽しみでした。

「宮城県のアンテナショップへ行って、八寸に使えそうなものをリサーチして来ます」「う~ん!」(そのフットワークの軽さが羨ましい・・・)

きっとお客さまも、ご亭主M氏も、半東Kさんも満足し、感激して食べてくださったことでしょう。

暁庵は懐石と水屋のお手伝いに回り、特に向付(コチ湯引き、梅醤油)、焼物(茄子、鳥味噌)、預鉢(アナゴ、長芋、隠元の炊き合せ)が絶品で舌鼓!でした。

 

  

    (椀盛  水無月真蒸 海老 青柚子)

 

「転勤族 水無月の茶事」の懐石献立  (小梶由香 作成)

飯   白飯 一文字 (ミルキークイーン)

汁   ズッキーニ  茗荷  胡麻 

          八丁味噌仕立て (八丁味噌は亭主ご希望)

向付  コチ湯引き  水玉胡瓜  花穂紫蘇  梅醤油

椀盛  水無月真蒸  海老  青柚子

焼物  茄子  仙台味噌とりあんかけ   

預鉢  穴子  長芋  隠元 炊き合わせ

箸洗  へぎ青梅

八寸  おつまみ牛タン(仙台 喜助監修)  空豆塩茹(亭主ご希望)

湯斗  こがし湯

香物  沢庵  守口漬(亭主ご希望)     胡瓜ぬか漬け

 

酒   「生酒」 晴雲酒造(埼玉県比企郡小川町)

    (名水「日本水」由来の酒を亭主がご用意)

 

 終章に代えて・・・Mさまへ(暁庵からのメール)

この度の初茶事のご成功を心からお祝い申し上げます。おめでとうございます! 

一昨日、巻紙のお手紙を頂戴しました。ご丁寧にありがとうございます。

お茶事を無事に終えられて、安堵感と手ごたえをしっかりと感じられたようで、私も嬉しいです。

水屋でお手伝いさせて頂きましたが、Mさまの15年間の修練の成果が十分に発揮され、しかも、お心が込められた、渾身のお茶事だったように思います。

修練された15年間にはまさにMさまならではのお茶の歴史があり、その間に出会ったお人やお道具のこと、いろいろな方に支えられ教えられてきたというご縁に思いを馳せました。そして思えば、暁庵とのご縁もとても不思議な気がします・・・。

私はときどきお茶のご縁の不思議さに心を打たれますが、お茶事はそんなことを改めて考えさせてくれる機会でもあります。

茶事の数日後にS先生のお稽古でお正客Nさまと次客Yさまにお会いしました。

「素晴らしいお茶事でした。正客としていろいろ反省点ばかりでMさまへ宜しくお詫びしてください・・・」とNさまに言われました。

でも、きっとNさまはご亭主のお話に耳を傾け、座を盛り上げてくださったことでしょう。そして、ご趣向を存分に楽しんでくださったことでしょう。

茶事後に名水「日本水(やまとみず)」を調べたら、山深くにあり水汲みがさぞや大変だったことだろう・・・と。でも、その大変さがおもてなしの心につながって、とても嬉しく思いました。

 

    名水「日本水(やまとみず)」(埼玉県大里郡寄居町風布地内)

どうぞ、初茶事をきっかけにまたお茶事をなさってください。

次回のお茶事では客として席中でMさまのお話をいろいろ伺いたい、ご趣向を楽しみたい・・と思っています。宜しくお願いいたします。 

                                                              かしこ    暁庵より  

 

「転勤族 水無月の茶事」を終えて・・(1)名水点へ  (2)花と後炭と会記へ