後座の床の花です(半開きだった椿が途中で開花しました)
最後のご挨拶が終わり、待合へ戻ってクリスマスのプレゼント交換をしました。
思い思いのプレゼントが美しく梱包され、長靴ならぬバスケットに入っています。
サンタが奏でるジングルベルを聞きながらクジを引く予定でしたが、サンタさんが静か(故障?)・・でした。童心に帰り、プレゼントを開けて喜び合いました。
茶事もそうですが、プレゼントも何とも言えぬ幸せをもたらしてくれます。
茶事後、アイビーとピペリカムをワイングラスにいけました
あれから早や1週間、心温まる後礼のお手紙が届くと、その度に茶事のシーンが鮮明によみがえってきます。いくつかをご紹介させて頂き、ご来庵のお客様に厚く御礼申し上げます。
SYさまより
年の瀬もいよいよ押しせまり、慌ただしく日が過ぎようとしています。
この度は貴重なお茶事の機会をくださり、有難うございました。
待合では歌声が聞こえてくるかのような掛物、かわいらしい一閑人とハンサムなサンタさんのお出迎え、思わず笑顔になりました。
初炭のお点前では、暁庵先生が入って来られた所作に目を奪われました。足の運び方、羽箒の使い方、座る位置など先生がいつもおっしゃっている事が腑に落ちました。
一つ一つの動作がぴったりとはまり気持ち良く進んでいく。お茶事全体の中で流れに呼応するようにお正客様やお客様が応えられる。心地よい時間の流れがあるのですね。
濃茶の席では蝋燭の火だけが静かに灯り、厳かな空気の中、キリスト生誕にかけたお道具の数々が和の中の不思議な異国へといざなわれた気がします。
その中で練られた濃茶の美味しかった事!!
いつも濃茶は気合を入れて頂くのですが、すっーとお茶が喉を通って行き、思わず飲み干してしまいそうになりました。
また薄茶のお席では、天使が運んで来る霜柱や、白雪姫と名付けられた林檎菓子。薄茶器の中の景色が森に見え、童話の世界に入り込んだかのようでした。
前後しますが、懐石のお料理の数々、大変美味しく頂きました。
白味噌仕立ての汁物は優しい甘さで、一椀目と二椀目で具が違っており、思わず得した気分になりました。お大根の田楽や舌の上でとろけるようなお肉など、お腹だけでなく心も満腹になりました。
全てに趣向を凝らされお心遣いに満たされたお茶事に入らせて頂き、先生をはじめ、御正客様、同席くださったお客様、半東をしてくださったKTさまに深く感謝いたします。
最高のクリスマスプレセントでした。・・・後略・・・ かしこ SYより
Rさまより
今年の師走はまだ寒さが本格的でない気がします。
一番の寒さと言われた日曜日もあんなに暖かく幸せだったからでしょうか。
改めて日曜日はクリスマスの茶事にお招きいただきまして、ありがとうございました。
暁庵さまのお茶事は毎回テーマがあり、お道具や設えだけでなく会話の中にも繋がって行くので、一瞬たりとも気が抜けないのです。
今回も待合の一閑人が軽快なお帽子で装っているのを見てから、楽しいゲームの仲間入りをさせていただいているような気分でした。
生姜が入った甘酒は身体を芯から暖めてくれました。腰掛に座って席入りを待っている静かな時間は寒気でさえいとおしく、この寒さがあるからこそ余計に炭火が有難く、懐石をいただく度に身体が温まって行くのを改めて覚えた気がいたします。
炭の香り、釜の音、部屋の明るさ・・・五感が覚醒されて行くのも分かりました。
美味しい懐石と見目麗しいきんとんに歓声をあげた後の後入りでは、飼い葉桶に見立てた手桶水指が柔らかな光にゆらゆらと浮かんでいるのが見えました。
何故 神であるキリストが「飼い葉桶」のような低き場所で生まれたのか・・・
「キリストは神の御姿であられる方なのに、ご自分を無にして、仕える者の姿をとり、人間と同じようになられた」
私たちも自分の感じ方、考え方、方法にこだわらず、自分を無にして神の方法を受け入れなさい(ピリピニ章六節)・・を思い出しておりました。茶道に於いても、キリスト教でも、そして一人の人間としても、「無にする」事の大切さを感じます。
庚子は心に留めて、暁庵さまをお招きする年にしたいと願いつつ、来年も宜しくお願いたします。
かしこ Rより
暁庵より
Sさまのお手紙を拝読して、入門して1年なのにお茶事の細部をしっかり捉えていらっしゃる内容に感心し、とても嬉しかったです。また、懐石が美味しかったそうで安堵しました・・・。
Rさまのお手紙を読んで、漠然としていた来年のテーマがはっきり姿を現わしたような気がしました。
来年のテーマは「シンプル」ですが、「無にする」についても考え、追求出来たら・・・と思います。
ありがとうございました。
2019年 クリスマスの茶事・・・(2)へ戻る (1)へ戻る
読者の皆様へ
今年も「暁庵の茶事クロスロード」をご愛読いただき、ありがとうございました!
どうぞお元気で良い年をお迎えください。 令和元年大晦日 暁庵