暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

茶友の古希をお祝いして・・・・その3(最終)

2017年11月04日 | 茶事・茶会(2015年~自会記録)
              

(つづき)
御茶一服差し上げたく・・・とご案内の手紙に書きますように、いつも濃茶に気合を入れます。

茶道口で茶碗を置いて座し、閑かに緊張感を感じつつ後入りを待つ瞬間・・・一番好きな時間かもしれません。
やがて襖を開け、茶碗を持って点前座に進みます。
心地好い緊張感を保ちながら帛紗を捌き、茶入、茶杓を清め、茶碗を浄めながら、自身の塵芥も浄めたいと・・・。
黒楽茶碗に凡鳥棗から茶を入れ、湯を汲むと、茶香がぷう~んと立ちのぼり、一心に茶を練りました。

              
                      凡鳥棗と伊藤庸庵の箱書

「お服加減いかがでしょうか?」
「大変美味しゅうございます」 (それまでの張りつめた気持ちがほっとして緩んでいきます)
濃茶は皆さまの長寿を願って「延年の昔」、星野園詰です。
黒楽茶碗は一入造、藪内七代・桂隠斎竹翁の銘「不老門」です。
中国・洛陽にあり、この門をくぐると老いることがないと言われている「不老門」。
KさまはじめAさま、Hさま、Yさまにこれからも元気に楽しくお茶を続けていってほしい・・・・と願っています。 

湯相も火相もほど好く、お正客から声が掛かりました。
「どうぞこのままで薄茶をいただきとうございます」
「それでは続いて薄茶を差し上げます」
皆さまといろいろなお話をしながら薄茶タイムが和やかに続きました。
薄茶器は西中千人(ゆきと)造のガラス茶器・銘「暁」、薄茶は金輪(小山園)です。
薄茶の茶碗は、お気に入りの御本三島とおめでたい祥瑞です。 

               
                 干菓子の「白鶴」と「千代結び」・・・佐藤愛真製  干菓子盆は大内塗です

最後に茶杓のことを書いておきます。
煤竹の茶杓は、大徳寺・寛道師の銘にて「紅葉狩」、安定性が良く掬い易い茶杓です。

当初、別の茶杓を使う予定でしたが、茶事の1週間前に愛媛県・宇和島市に住むSさんから電話がありました。
「思うところがあってお茶から離れることにしました。
 茶道具を全部整理したのですが、貴女に使って頂けたら・・・といくつか送りました。何かの折に使って頂けたらとても嬉しいです。」
送られてきた茶道具は、Sさんとお茶の先生をしてらした亡き母上が茶会や茶事の折に一つまた一つと購入し、大切に使われていたものでした。
お祝いの茶事に間に合うように贈ってくださった気がして、茶杓「紅葉狩」を有難く使わせていただきました。
・・・と言うわけで、今回の茶事はいろいろな方のサポートやご縁が力強く後押ししてくださいました。 


                              
 
今、古希をお祝いする茶事が無事終了して心から安堵しています・・・・。
この度も半東Fさんと懐石・佐藤愛真さんのお二人が強力なサポートをしてくださったので
茶席のお客様のおもてなしに集中することが出来、この場をお借りして感謝申し上げます。
ありがとうございました!


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