暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

梅若の涙雨・・・京都から茶友を迎えて

2015年04月15日 | 暮らし

ここのところ、よく雨が降りますね。
3月15日から4月15日ころにかけて雨が降ると
「梅若の涙雨」(雨の名前より)を思い出します。

3月15日(陰暦)は、能「隅田川」の主人公梅若丸の忌日だとか、
この日降る雨のことを「梅若の涙雨」というそうです。

能「隅田川」では、
隅田川の渡しに人買いにさらわれた我が子・梅若丸を探して、
都から狂女が足取り重くたどりつきます。
船頭は人買いに捨てられて病死した幼子の物語をし、
今日はその一周忌の弔いであることを狂女に語ります。
それが我が子と知り、嘆き悲しむ母・・・。
墓の前に連れてこられた母は、念仏を唱え、我が子の姿を懸命に追い求めます。
すると、墓の中から我が子の声がし幻が・・・。
一瞬のうちに幻は消え、深い闇の中に立ち尽くす母の悲痛さにいつも涙が止まりません・・・。

                        

そんなこともあって能「隅田川」のお軸を床に掛けてみました。

4月8日雨の中、上京の折に京都の茶友Yさんが我が家へ寄ってくださいました。
薄茶一服差し上げながら久々に茶談義するのが楽しみです。
茶室八畳に客お一人では寂しく思い、近所のHさんにお声掛けしました。

今回は炭手前と薄茶でおもてなしです。
待合には和歌の色紙を選びました。

    いざけふは 春の山辺にまじりなむ
       暮れなば なげの花の陰かは    素性法師



床のお軸は「隅田川」、野沢蓼州画です。
花はシャガ、白蘇芳、朴半を、大ぶりの竹筒にいけました。
棚は利休好の桐丸卓、水指は見立てで芥子画のある白磁です。
元はワインクーラーではないかと思うのですが・・・
10年ほど前に入手したものを探し出し、やっと初使いです。

炭手前ですが、炉の準備ができず京都で使っていた置炉を使いました。
それに湿し灰・・・なんと!3年前に作った湿し灰を使いました。
恐る恐る出してみると、色と言い、団粒がさらさらと撒き具合よくびっくりです。
炭を入れておいたせいか、カビも嫌な臭いもありません。

薄茶は松柏(小山園)、主菓子は3種。
桜葉を練りこんだきんとん・銘「私のさくら」(自製)、月餅(桜餡、崎陽軒)と苺です。
別室で干菓子とコーヒーをお出ししました。
干菓子は桜花と蝶。ハワイ在住のSさまから送って頂いた嬉しい貴重品です。

                        

                        
                          干菓子(サクラと蝶) by Sさん (ピンボケですが・・)

雨の中、何とか散らずに踏みとどまっている「私のさくら」を思いながら、
棗は雪月花蒔絵、茶碗は京焼の「しだれ桜」と「御所の桜」。
茶杓はひな祭り茶会でも登場した銘「はるさめ」(太玄和尚作)です。

桜尽しの茶会(茶飲み会)はお話が弾み、時を忘れる楽しさでした。
Yさん、Hさん、来てくださってありがとう!
お蔭様で、だいぶ支度や点前に慣れてきたみたい・・・です。