暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

Jazz茶会ー2  Moon Bow

2013年10月16日 | 思い出の茶事  京都編
              (写真がないので・・・)

ギャラリー池川をお暇して、Kさん宅のJazz茶会へ。
Kさんは謙遜して、茶会と言っているのですが、
めったにお目にかかれないほど、精神性の高い茶事です。
池川みどり家元の薫陶を受けていらっしゃるのですから
当然ですが、それを文章で表現するのはとても難しい・・・。

でも、忘備録としてその一部を書いておきましょう。
           
その日、播磨地方の天候はめまぐるしく変わったそうで、
ギャラリー池川で雷雨のようなにわか雨に逢いました。
ご亭主は全天候型の茶会準備をしてくださったようですが、
行いの良い(?)私たちは一度も雨に振られずラッキーでした。

         
            ステキな蹲 (前回の写真です)

掃除の行き届いた庭の腰掛で迎え付けを待っていると、
木々の間から上弦の月が見えました。
夕方のにわか雨で、庭木や苔がしっとりと露を含み、
空気は一段と清らかに澄んでいます。

ご亭主が現われ、蹲で身を浄め、無言で挨拶を交わします。

どんなにか、この日を待ったことでしょう・・・。
ご亭主は体調を崩され、茶会の開催は無理な状態が長く続きました。
茶会をまたやれるように・・・と、出来る限りの治療や養生を実行し、
茶会ができるまでに回復されたのでした。

         

躙り口から席へ入ると、そこは蝋燭の灯りだけの世界です。
床に何やら英語の言葉が・・・。
あとで伺うと友人の書で「Moon Bow」、
月が今宵の主役でしょうか。

手づくりのお弁当を頂戴しました。
送り迎えや準備で忙しかった合間に・・・感謝です。
どれも美味しく、格段と料理の腕を上げられています。
庖丁が切れると、ゴボウの旨味と甘みが保たれるという話に
びっくりしたり納得したり。
ご亭主にも相伴してもらい、料理修行やこだわりのあれこれを伺いながら、
愉しく全部たいらげました。

         

今思い出すと、茶会のどのシーンも心に残っています。
ジャズを聴きながら、精神の高みを感じる薄茶一服も好かったけれど、
一番は、月を見ながら点ててくださった二服目の薄茶席でしょうか。

月の光、山中のような庭の木々、テーブルのローソクのゆらめき、
鉄製の燭台、木と石の椅子・・・
舞台装置がステキでした(ため息!)。

揖保川焼の振出しから飛び出したウサギさん(雲平)とクルミ菓子を食し、
ジャズならぬコオロギたちの演奏を聞きながらの薄茶の味わい、
野趣豊かな忘れられぬ茶会となりました。

私も横浜へ帰ったら、庭で薄茶の茶会をしてみたい・・と、
大いなる刺激と感銘を受けました。
いつも、素晴らしい茶会をしてくださって、ありがとう!
  
                            

           Jazz茶会ー1へ