暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

クリスマスの茶事  忘年会を兼ねて

2012年12月29日 | 茶事  京都編
久しぶりにクリスマス兼年忘れの茶事をしたくなり、
11月半ばにお声掛けしました。
親しくお付き合いして頂いている方々なので、茶事形式ですが、
懐石料理は持ち寄りです。
初めての試みでしたが、とても楽しみなものになりました。

懐石料理は一応希望をお尋ねしましたが、内容はおまかせです。
待合でお待ち頂いている間に順次、お料理を受け取り、
温めるか、冷やすかの指示を仰ぎました。

  向付はSさま、ヒラメの昆布〆をステキな古染付の向付に盛って。 
  焼物はOさま、鴨ロース挑戦の予定がさわらの西京漬けへ変更とか。
         伊万里の皿で温かく、しっかりとしたお味でした。。
  煮物はPさま、フランス仕込みのティアン、バターライスを敷いた野菜
         (ズッキーニ、茄子、パプリカなど)のキッシュ風一品で、
         熱々を取り回しました。
  和え物はTYさま、海老、アボガド、トマト、ブロッコリィの和え物、
         硝子四方鉢入りを冷やしてさっぱりと。
  煮物椀は暁庵、カニ真蒸、手鞠麩、鶯菜、京人参、柚子と定番です。

どれも美しく美味しく、写真を撮る余裕がなかったのが残念です。

            

さて、肝心の茶事ですが、
初座の床は、「無我」のお軸を掛け、クリスマスの花を荘りつけました。
クリスマスなのでいつもの茶花と違う雰囲気にしたいと、
華道小原流を学ばれているTYさまにお願いし、前日に生けて頂きました。

花は、ミニチュアグラスアスパラガス(緑)、さらしつつじ(銀)、
アンソリューム(黒)、クリスマスブッシュ(赤)、シックなクリスマスカラーで、
夏の手提げ籠の花器がステキに決まっています。

ご挨拶の後、初炭から始まりました。
四方棚に羽箒と香合を飾り、釜は責紐釜です。
赤と緑の水引を掛け、十字架のキリスト様におでまし頂きました。
釜の扱い、責紐をはずすタイミングと所作を工夫してみましたが、
その試行錯誤の過程が楽しゅうございました。

            

初炭の間に土鍋でご飯を炊きます。
初炭が終わるころに炊き上がるのですが、雑念が入り、座掃きを見事に忘れました。
イヌワシの座箒を入手したばかりでして、
子供のように座掃きするのを楽しみにしていたのですが・・・。
棗を持って香合を取りに入ってからやっと気が付き、巻き戻しをお願いして
座掃きをさせて頂きました(どっと汗)。

香合は陶器の小箱、百人一首の歌に因むもので、

  いてそよ人をわすれやはする   と下の句とが書きつけてあります。

上の句は、 有馬山猪名のさゝ原風ふけは

紫式部の娘、大弐三位(だいにのさんみ)の恋の歌ですが、
キリストさまをお慕いする歌としました。

「有馬山の猪名の笹原に風が吹き、雪が降り積もるころになると
 あの方のことを想い出します。
 どうしてあの方のことを忘れることができましょうか。
 けっして忘れはいたしません」

香は、今年1月の上田宗箇展で求めた宗箇様御伝の「清静(せいせい)」、
香元は山田松香木店です。

            

さぁ~、ちょうどご飯も炊きあがり、皆さま力作の懐石です。
一献は赤ワインをグラスでお出しし、ハンドベルのクリスマスソングが
BGMです。
「こんな茶事も楽しいわね!」と異口同音でした。

もちろん私もですが、皆さまが楽しんでいる姿を見たり、聞いたり、感じたりが
亭主として最高に楽しいことでした。
また来年も持ち寄りで楽しく相和して・・・と早や考えています。

書き尽くせませんが、今回はこれにて・・・。