暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

辛卯 初釜 (2)

2011年01月09日 | 稽古忘備録
炭手前が終わり、すぐに懐石をお出ししました。
出張懐石の京遊庵に初めてお願いしたそうですが、
助手とお二人で12人分の懐石がとてもスムーズでした。

「炭手前が始まったらお知らせください。ご飯を炊き始めます。
 香合が拝見に出たらお知らせください。盛付を始めます」
10人の膳がどんぴしゃりのタイミングでお出しできて嬉しかったです。
一文字も汁も温かく美味しそうでした。
Kさんと私は二度目の飯器をお出しした後、
初釜なので席中に持ち出させて頂き、相伴しました。

初釜の茶事献立をご紹介します。

   向付   鯛へぎ造り
          紅芽  防風  わさび
   汁    白味噌仕立  手鞠麩
          黒豆  からし
   煮物   清し汁仕立  蟹真薯 
          小かぶら  大根  人参  柚子
   焼き物  寒鰤照焼き
   強肴   海老芋  引き上げ湯葉
          梅麩  椎茸  柚子
   強肴   ふく  水菜
   小吸   松の実  裂き梅
   八寸   伊勢海老   慈姑
   香物   沢庵  栄漬け  高菜漬け

主菓子ははなびら餅(喜月製)を縁高でお出ししました。

中立ちのあと、後入は銅鑼でお知らせしました。
大小大小中中大・・・ところが蹲に進まれる様子がありません。
音が小さかったので聞こえなかったのでしょうか?
にぎやかな声がしていますので、もう一度銅鑼を打ち直しました・・・。

             

後座の床は、赤い椿一輪でした。

後座から水屋担当なので、島台茶碗2個を十分に温めました。
新しい茶巾、新しい茶筅、茶杓を仕組みました。
先生が濃茶を練ってくださって、二服目にKさんと一緒に末席へ入り、
しっかり練られた濃茶をたっぷり頂きました。
濃茶は小山園の慶知の昔です。

続き薄茶になり、煙草盆と干菓子を運び出し、Kさんが台子薄茶点前です。
三客さまの薄茶をKさんが点て始めた頃に替茶碗の茶を点てだしました。
社中なのでお客のお一人に半東をお願いしました。
全員に薄茶を喫んで頂いてから、仕舞つけ、道具拝見となりました。

道具を引いてから私とKさんがご挨拶に出ました。
「ふつつかなながら初釜の亭主をつとめさせて頂きまして、ありがとうございます。
 皆さまのご協力のおかげで、無事終了することができました。
 本年もどうぞ宜しくお願いいたします」

最後に、恒例の福引と辻占いです。
盆に乗った折鶴を一羽ずつ取り回しました。
中に名前(鶴、亀、松、竹、梅、菊、百合、椿など)が書いてあって
賞品の名前と合わせます。
次いで干菓子盆に乗った金沢・高砂屋の辻占いが取り回されました。
一人ずつ読み上げて、意味深長な言葉に、意味深長な解釈がついて大笑いです。
私の辻占いは「何事にもご用心」でした・・・。

こうして辛卯の初釜は目出度く楽しくお開きとなりました。


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