暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

奥深き五事式 (2)

2010年04月26日 | 茶事
 (つづき)
中立から亭主と半東が入れ替わりました。
銅鑼を鳴らし後座の迎え付けです。

前半は順調でしたが、後半はいろいろハプニング?がありました。
先ず、お弁当のボリュームが凄くて、お菓子を出し忘れ(?)、
濃茶の直前にお出しすることにしました。

後座はお香から始まり、香盆を運び出そうとすると、先生から
「折据が乗っていませんが、香はご亭主が焚くのですか?」
「且座なのでお香はお正客に・・と思いました」
「香元は折据を廻して札で決めてください」

折据で香元を決めるのは初めての経験でしたが、
このような仕方もあるのかと新鮮でした。
私(亭主)が月を引き、末座で香を焚き、
香炉を正客へ持って行きました。

最後に私が香を聞き、盆へ置くと正客から
「お香銘は?」
とっさに、前回の五事式の会を思い出し、
「春の苑 紅匂ふ桃の花 下照る道に 出で立つ乙女」
の和歌より香銘は「春の乙女」でございます・・・ふ~っ(汗)!
香盆は床の柱付きに荘りました。

濃茶点前に入りましたが、内心ヒヤヒヤでした。
風炉点前総ざらい中でして頭と体が風炉に切り替わっています。
前日に炉の濃茶点前を稽古したのですが・・・。
濃茶から花月への流れは、仙遊之式のような仕方でした。

末客の吸い切りで中仕舞いをときます。
水一杓汲み入れて帠紗はつけずに
客付に回って「薄茶は花月で」と挨拶します。
亭主は居前に戻り、主客が同時に帠紗を腰につけます。
末客は拝見から戻って預かっていた茶碗を返し、総礼。

茶碗をすすぎ、茶巾、茶筅を入れた茶碗と建水を
持って下がりました。
干菓子を持ち出し、茶巾、茶筅を入れた替え茶碗と建水を
敷合わせに置き、亭主は仮座へ入り、通常の花月になります。

先生のお話では五事式はいろいろな仕方があるそうです。
且座、仙遊、唱和之式を取り入れた仕方があり、
七事式を極められた方がそのバージョンや応用を楽しみながら
お互いに切磋琢磨するそうです。
とても奥が深いお話でした。 ふ~っ(ため息)!

こうして、今年の先生宅の五事式が終わりました。
来年の五事式ではどんな仕方になるのか、今から楽しみです。

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