暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

さくらの茶事 (2)

2010年04月06日 | 思い出の茶事
(つづき)

銅鑼の音で身を引き締め、後座の席入りです。
床には東海さくらが満開でした。

静寂のうちに濃茶点前が始まりました。
茶銘は小山園の雲鶴。
茶碗は黒の大樋焼で、小振りで掌に温かく納まります。
黒に映える緑の色彩に見とれ、香りや練り加減も良く、
美味しかったです!

拝見に出されたお道具のいくつかは
「そういえば、前にお目にかかったかしら?」
と懐かしく再会しました。

中でも瀬戸肩衝の茶入はお気に入りでして、
大亀和尚の「松風」という銘がある名器です。
鹿の子斑を連想させる景色が素晴らしく、
勝手ながら「若草山」と名付けて愛で楽しんでいます。
衣装持ちで、仕覆はかわいらしい「苺緞子」でした。

薄茶は水屋方とご一緒に別室で頂戴しました。
桜の下で毛氈を敷いて・・とご亭主は考えていたようですが
春の嵐で室内の薄茶席になりました。

別室はカーテンが開けられ、それまで見えなかった桜が
ベランダ越しに飛び込んできました・・・。
柔らかな若緑の中にピンクの雲が幾重にもかかって
山中のような桜の景です。

御所籠が運び出され、薄茶は色紙点てです。
すらすらと優雅なお点前に感心しながら
干菓子も美味しくニ服頂戴しました。

ご一緒した水屋方は三名で、客三名よりも大勢の方に
おもてなし頂いたことに恐縮しながら、楽しく歓談しました。
お近くに助け合い、研鑽し合っている茶事のお仲間が
いらっしゃることに毎回感嘆し、うらやましく思っています。

そして今回も、皆様のお心こもるおもてなしに感謝しつつ、
たくさんの刺激を頂戴しました。
正客のKさんと次客のIさんはその夜、興奮してなかなか
寝つけなかったとか・・・。

ご亭主様、水屋の皆様、本当にありがとうございました。
これからもどうぞ宜しくお願いいたします。

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