暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

奥深き五事式 (1)

2010年04月24日 | 茶事
「大好きな炉の季節も残り僅かとなりました。
 炉の名残りを惜しみつつ、五事式にて粗茶一服差し上げたく・・・」

4月の花月の稽古は、茶事形式で五事式でした。
前半の亭主はKさん、半東は私がさせていただき、中立で交替です。
水屋の手が足りないので、懐石は豪華な吸物付お弁当になりました。

前もって先生から会記を頂き、Kさんとびっくりしました。
とても稽古茶事とは思えない立派なお道具です。
「稽古でも茶事としてきちんとやりたいですし、
 お道具はしまい込んでいても仕方がないので、
 ご亭主も楽しんでください」

先輩方を四畳半台目の待合へご案内し、
外腰掛から蹲を使い、母屋の八畳へ席入りして頂きました。
本席の床は淡々斎筆の画賛、「春風」と蕨の絵です。
春風が一陣、広間にやさしく吹き渡りました。

釜は天猫、赤味を帯びた釜の形、色、艶が味わい深く、
地紋は八景で、大西清右衛門の極めがあるそうです。
棚は山雲棚、水指は明時代の色絵樹下美人、
棗は山下甫斎作の遠山蒔絵(大宗匠箱)でした。

熟練した先輩方がお客さまですので、廻り炭も順調に進み、
「炭にてお釜を」の声が正客から掛かりました。
廻り炭が早目に終わりそうなので、花寄せの準備をしました。

蘇芳、白山吹、アケビ、乙女椿、白椿、朴半、
鯛釣草、イカリ草、シャガ、浦島草、苧環・・・。
炉の名残りを惜しむ五事式にふさわしく、
花台が、そして床が春爛漫になりました。

注文していたお弁当が届かないので、お香の用意を始めました。
急いでいるせいか、なかなか香炭団が熾きません。
内心あせりながら香炉を整えていると、お弁当が到着し(ホッ!)、
花寄席で昼食となりました。
先生、見学の先輩、亭主、半東も持ち出してご一緒しました。

       (次へつづく)                 

       写真は「イカリ草」です。 
                     

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