暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

鶯の茶事

2010年02月23日 | 茶事
梅の香が満ち、初音が待ち遠しいニ月の或る日、
鶯の茶事へ茶友をお招きしました。

久し振りの我家での茶事です。
四名さまを一人でおもてなしするのは無理と思い、
ご近所のIさんに懐石の助太刀を頼みました。

「懐石は作っておくので、温めと盛り付け、
 一文字用のご飯を鍋で炊く、それから焼魚の調理」
・・主な助太刀の内容でした。
Iさんは煎茶を習っていたそうですが、茶事の経験はありません。

それで、三日前に打ち合わせをしました。
茶事の流れ、懐石の順番と内容、タイムスケジュール、
献立、器や箸など、資料を渡して説明しました。
参考に写真が多く載っている
「お茶事をしてみませんか」(小澤宗誠著 淡交社)の本
をお貸ししました。

・・すると、質問や献立のアドバイスが次々と
飛び出してくるではありませんか!

質問でIさんがどこまで把握しているか解りましたし、
一人で考えていると、ついマンネリになってしまうので
献立のアドバイスはとても新鮮でした。

前日にIさんお薦めの魚屋さんへ連れて行ってもらい、
仕込みもばっちりでした。
二人で額と腕を寄せ合ってお出しした懐石を紹介しますね。

   向付    水蛸(湯引き) レモン汁かけ 粉パセリ
   汁      合せ味噌  蓬麩  辛子
   煮物椀   カニと百合根の真蒸 菜の花 人参 梅麩 柚子
   焼物     メカジキ  幽庵焼き
   和え物   鶯菜  鰹節  焼き海苔
   箸洗い   梅塩仕立て  うるい  百合根(花びら1片)
   八寸    牡蠣 有馬煮   味噌添えフキノトウ 天麩羅
   香の物   柴漬け  小蕪  壬生菜
   酒     月桂冠

         

茶事次第は、廻り炭、懐石、菓子、中立、濃茶、
そして薄茶は結びふくさ花月です。

床に「七事式のげじゅ」を掛け、白梅と紅梅を活けました。
花入は唐華彫花瓶、神奈川焼の井上良斎の作です。

席入の後、廻り炭から始めました。
五事式の会で埋火から火を熾すことが課題になっていたので
早くから炉に火を入れ、灰を温めておきました。

心配しながら埋火を掘り出してみると使えそう?でしたので、
初めて埋火だけで熾してみました。
もし熾らなかったら中立で湯相と火相の両方を整えることを
一瞬覚悟もしました。
香合を引く時に赤い火が確認でき、ヤッタネ!

懐石の終盤には松風が心地好く聴こえ、
お客さまも一緒に喜んでくださって感激でした。
そして、心強い助っ人、Iさんに感謝です。