鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

暖かいピザと揶揄された福田新総裁に期待できない

2007-09-24 | Weblog
 23日、自民党の総裁選が行われ、予想通り福田康夫が麻生太郎を破り、自民党総裁に就任した。25日には首相になるはずである。戦前の予想では大差をつけて勝利するはずが、ふたをあけてみれば330対197票と133票の差しかなかった。国会議員のなかにも麻生支持に回った議員が多かったのと、地方で麻生総理を望む声が出たのがこうした善戦につながったが、考えてみれば67歳対71歳と老人の戦いに自民党の退潮は否定できない、と見る向きもあり、自民党崩壊の流れが止まった、とはとても思えない。海外紙に暖かいピザと揶揄された福田新総裁がどこまで手腕を発揮するか、だが、その流れを変えるのは容易なことではないだろう。
 麻生率いる麻生派はわずか16人しかいなくて他の7派閥はいずれも福田支持を表明し、圧倒的に福田優位で始まった葬祭選は若手議員が名乗りを挙げなかったこともあって、終始低調のままに終わった。クーデター説を流され、劣勢に立った麻生氏が持ち前のさわやかな弁舌と明るいキャラクターで大衆の心を掴み、秋葉原、大阪の街頭では人気をひとり占めした。対する福田氏は自身、一度は総裁レースから降りたことがひっかかってか、麻生氏を攻めきれず、各種の討論会では負けばかりいた。それでも永田町の論理では福田優位で、海外紙が総裁選では劣勢だった故小渕恵三氏が総裁選挙では勝ったのになぞらえて、暖かいピザともじったのも納得できる。
 派閥論理の福田氏を推す旧自民党の体質をきらって、若手議員が派閥の支持を嫌って麻生支持に回ったのと、地方で次回総選挙を考えて、麻生支持を表明した党員が多かったことが麻生氏善戦につながったようである。地方票数では76対65と福田氏が勝ったが、党員の実投票では25万3692票対25万613票と麻生票の方が3079票上回った。麻生氏支持というより、昔の自民党は回帰するのを嫌った党員が反福田ということで、麻生票を投じたようである。反福田というか、反旧自民党であるが、さりとて革新を期待できる人が立候補していないので、むしろ棄権でもしたい、とでも思ったことだろう。
 そのあたりを自民党、福田氏周辺はどう感じ取るのであろうか。参院選の反省がこの総裁選で生かされたとはとても思えない。総裁選で福田氏は自らを苦労人と表現したが、本当の苦労人はそんな表現はしないもので、苦労したことを売り物にする人に碌な人はいない。苦労人とは他人が言うことで、本人から苦労人というのは間違っている。
 福田氏が官房長官をしている時しか、テレビで拝見したことがないので、よくわからないが、案外、安倍首相と同じようにお坊ちゃん育ちなのではないだろうか。政治家歴も20年余と年の割には長くないし、それほど重職にはついていない。たまたま、変人の小泉前首相の官房長官を務め、当たり前の言動が変人の下では光った、ということだったのではないだろうか。
 海外特派員協会の討論会でリーダーの資質を問われ、福田氏は「決断」と答え、その前に安倍首相の辞任の感想を聞かれ、進退を決断するのは難しいことだ、と答えていたのが想起され、この人はもう辞める時のことを考えているのか、と感じた。
 23日のサンデーモーニングで金子勝慶大教授が言っていたように「自民党の退潮傾向はずっと続いている」。この流れを変えるのは福田氏ではなく、少なくとも麻生氏ではない、次ぎの首相だろう。
コメント (7)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする