今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

817 目黒【東京】目黒にはサンマがいるぞ彫刻も

2018-05-24 19:48:00 | 東京(区部)
「よく晴れて、少し暑くなるが湿度は低い」と天気予報が太鼓判を押す好天の1日、目黒を歩く。目黒と言っても広いのだけれど、東横線の中目黒で降りて、区役所や大鳥神社をかすめながらJRの目黒駅の先まで歩いたのだから、ほぼ区の中心部をうろついたことになるのだろう。最初の目的地は長泉院という浄土宗のお寺である。お寺が現代彫刻美術館を運営していて、私が注目している若手彫刻家の作品が特別展示されているのだ。



彫刻家は明田一久氏といい、動物を擬人化し、黒御影石からユーモラスな造形を彫り出すことを得意としている。一見、童話の挿絵のようなポピュラーさを狙っているかに見えるが、何点も観て行くうちに、研ぎすまされた計算に基づいて造形されている、隙も弛みもない緊張が内在していると感じるようになった。1971年生まれだというから、これからが円熟期だろう。この造形がどのように発展して行くか、実に楽しみな作家だ。



お寺が美術館を併設すること自体珍しいのに、ここはそのうえ無料開放である。彫刻鑑賞が好きで「美と仏教は通じるものがある」と考える先の住職が、作品発表の場の少なさに苦労している若手作家のためにもと檀信徒と話し合い、1978年に開設にこぎつけた美術館だという。本館のほか、住宅街の空き地を繋ぐようにして野外展示場が点在し、都会の美術館らしくマンションの生活臭に囲まれて、250点余の作品が陽を浴びている。



確かに立体作品は重く大きく、自己表現の手段を彫刻という分野に求める作家は、工房適地から始まって材料費の確保、作品収蔵の場など、絵画(平面)を選んだ作家より苦労が多いように思われる。黒御影石の産地、四国・庵治町で垣間見た工房も、重機を使って大きく重い石と格闘していた。明田氏は出身地の高崎に工房を構えているようで、それで群馬に通う私に鑑賞の機会が多いということになる。一度工房にお邪魔したいものだ。



贅沢を言えば、これらの現代彫刻を、もっと広々とした緑の中においてやりたい。そうなれば作品たちは、饒舌に見るものに語りかくて来るような気がする。しかしそれを願えば山の中に適地を見つけるしか無く、観に行くことが困難になる。長大な三木俊治「行道衆」などはまさにそのジレンマである。ちなみにこの作家の作品は、JR立川駅北口にも展示されている(と思う)。無料で美を堪能し、美味しいコーヒーまでごちそうになった。



生活の近くにこんな美の空間があるとは、何と恵まれた街だろうと周りを見回すと、昔ながらの曲がりくねった細い道の周囲をおしゃれなマンションや戸建てが埋め尽くしている。都心と言っていいようなところだから、きっと地価は高く、車庫を設ける余裕はないのだろう、車は道路に面したスペースに駐車している。そのマイカーが、ほとんどが外車なのである。それも圧倒的にドイツ車である。住民の意識が窺い知れるような風景だ。



目黒に行くからには、お昼は豚カツに決まっている。30代の食べ盛り?のころ、足繁く通った「とんき」だ。記憶を頼りに目黒駅に近づくと、高層ビルが林立し、風景が一変している。それでも何とか尋ね当てると、定休日であった。経営者従業員とも全て新潟だと聞く。寡黙に働き、うまい豚カツを出す、よき新潟の典型のような店だった。駅に向かうと、下校する高校生の集団に巻き込まれた。目黒の高校生はかわいい。(2018.5.22)


















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