今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

1144 小牧(愛知県)城山へシンボルロードをゆっくりと

2024-01-03 11:38:23 | 岐阜・愛知・三重
コマキと聞けば反射的にナガクテと続くほど、中世の「小牧長久手の戦い」は耳に馴染んでいる。しかし、では小牧はどこにある? と問われたら、恥ずかしながら私は答えられない。犬山からの帰途、地図を眺めていて途上の小牧駅を見つけ、慌てて下車する。長年の懸案を解消する好機である。440年ほど昔、秀吉と家康が睨み合った10キロほどの距離を、私は15分間の電車の旅で移動した。無残な戦など連想できない穏やかな平野である。 . . . 本文を読む
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1143 犬山(愛知県)犬山の城下を歩いて天守登る

2024-01-01 14:21:23 | 岐阜・愛知・三重
「現存天守」という言葉がある。天守閣を有する城郭の中で、築城された戦国時代から江戸時代にかけての状態をほぼ維持している天守を指し、それは現在では12城しかないのだそうだ。いずれも重要文化財で、なかでも特段の古建築5城は国宝に指定されている。姫路城、彦根城、松本城、松江城、それに犬山城である。城郭建築の知識も興味も乏しい私だけれど、土地の歴史を感じようとすれば城跡は外せないので、訪れた数はずいぶん増えた。 . . . 本文を読む
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1142 各務原(岐阜県)カカミノを豊かな土地へまちづくり

2023-12-25 14:36:07 | 岐阜・愛知・三重
東国者の私がこの街の名を耳にするのは、年に一度「航空祭が賑わっています」というニュースが流れる時くらいだ。だがそのおかげでこの珍しい街の名を、知らず識らず覚えたようである。とはいえ「かがみはら」だと思い込んでいた読み方は、正しくは「かかみがはら」なのだとは知らなかった。岐阜から名鉄犬山線に乗り、市役所前で降りて歩く。新築間もない様子の市役所に立ち寄ると、ロビーの隅に展示された小さな立像に「村国男依」とある。 . . . 本文を読む
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1141 西岐阜(岐阜県)伊吹おろしに曝されて走泥社展

2023-12-23 09:26:54 | 岐阜・愛知・三重
岐阜市について「賑わいと静寂のバランスが程よく均衡した、暮らし良さそうな街だ」と書いたことがある。JRと名鉄の駅が隣り合う界隈から北へ、金華山通りを行くと柳ヶ瀬の繁華街になり、さらに市役所を過ぎると長良川の清流に行き当たる。長良川橋を渡って金華山を見上げると、陽に輝く稲葉山城が豊かな歴史を語りかけてきて、「いい街だ」と思うのである。ただいつも訪れるのはこのあたりだから、街の全体について語る知識はない。 . . . 本文を読む
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1097 中津川(岐阜県)静けさはリニア現る前触れか

2023-04-28 17:13:35 | 岐阜・愛知・三重
島崎藤村は『夜明け前』で、主人公・半蔵に「あの山の向こうが中津川だよ。美濃は好い国だねえ」と語らせている。そこは馬籠宿下の「これより北 木曽路」となる十曲峠でのエピソードである。古い街道の本陣を守る定めに縛られ、世の変動に届かないもどかしさと苦悶する半蔵にとって、中津川は峠から遠望する「大きな世」であったのだろう。ここには「街と鄙」の象徴的な対比がある。時代が激しく移ろって行く渦中での「所在の差」である。 . . . 本文を読む
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1096 馬籠(岐阜県)「これより木曽路」と馬籠にて

2023-04-27 20:03:52 | 岐阜・愛知・三重
馬籠宿を登り切ると、山肌を均した展望スペースが整備されている。その広場に立つと視界は一気に広がって、気分も晴れ晴れと軽くなる。南は恵那山(2191m)の稜線が緩やかに流れ、西は幾重にも重なる尾根が遠く靄って消えて行く。妻籠からつづら折りの峠道を越えて来た眼には、ふわりと空中に誘われるような爽快な眺めである。西へ東へ、近世の列島を行き交った旅人たちは、この辺りで私と同じ感慨に耽り、一息ついたことだろう。 . . . 本文を読む
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1045 長久手(愛知県)古戦場振り向けばスポーツカー

2022-07-20 16:25:42 | 岐阜・愛知・三重
愛知県の地理には疎いのに、「長久手」と耳にすれば反射的に「小牧」と応えてしまうのは、幼いころの私が秀吉や家康の合戦ものを熱心に読む、よくいるニッポンの少年だったからかもしれない。名古屋市の東に長久手市が、北に小牧市があるという街の位置も、未だ理解出来ていないのだが、「小牧・長久手の戦いは豊臣と徳川のその後の命運を決めた合戦であった」と、変な知識はある。リニモで名古屋に出る途中、長久手古戦場駅で降り . . . 本文を読む
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1044 猿投(愛知県)古き窯を偲んで眺める灰釉瓶

2022-07-18 13:20:48 | 岐阜・愛知・三重
豊田市の北部、瀬戸市との境に猿投(さなげ)山という標高628メートルの山がある。古くは修験の霊山として、現在は市民のハイキングコースとして親しまれているようだ。三河高原が尾張平野に果てるあたりの低山に過ぎないのだが、山麓で発見された膨大な古代の窯跡群が「猿投窯」と命名されたものだから、この風変わりな名称が日本の窯業史では極めて重要な存在になった。豊田から愛知環状鉄道に揺られ、愛知県陶磁美術館を目指す。 . . . 本文を読む
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1043 豊田(愛知県)街づくり古い挙母(衣)は脱ぎ捨てて

2022-07-17 09:21:42 | 岐阜・愛知・三重
私は「挙母」という字面に微かな記憶がある。しかし読むことができない。1959年に「豊田市」と改称するまで、そこは「挙母市」と言った。わずか8年間の短命な市名だったのだが、雪国の地図好きの小学6年生だった私は、街の名を変えるという大胆さに興味が湧いて、遠国の新旧市名を覚え込んだのだと思われる。だがそのまま「記憶の引き出し」に仕舞い込んだものだから、未だに豊田市の位置がはっきりしない。63年を経て出向くとする。 . . . 本文を読む
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1042 岡崎(愛知県)竹千代が「こんにちわー」と駆けて行く

2022-07-16 10:34:42 | 岐阜・愛知・三重
信州下伊那の山中に発し、岐阜・愛知県境を流れ下る矢作川が、美濃三河高原を抜けて潤す西三河の大地は「岡崎平野」と呼ばれる。豊川が形成する東三河の豊橋平野とは、緩やかな丘陵が隔てている。そうした穏やかな風景の丘に「おかざき世界子ども美術博物館」がある。豊橋からの名鉄を美合という小さな駅で降りる。ガランとしたタクシー乗り場で途方に暮れていると、「タクシー来ないでしょ」と声がしてびっくりする。振り向くと誰もいない。 . . . 本文を読む
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1041 豊橋(愛知県)「ほの国」をゆるゆると行く市電かな

2022-07-13 09:52:06 | 岐阜・愛知・三重
東京駅を朝6時21分に出発する東海道新幹線ひかり号の1番列車は、品川・新横浜・小田原と各駅に停車しながら静岡県の6駅は飛ばし、7時48分に豊橋駅に到着する。新幹線の乗降客はまばらだけれど、通勤・通学のラッシュが始まっているのだろう、JR線と名鉄線の改札からは人が溢れ出て来る。駅は明るく広々として、「大きな街なのだなあ」とまず驚く。パンデミックに抗い「私の日本地図」の空白を埋める旅は、今回は「三河」である。 . . . 本文を読む
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974 熱田(愛知県)畏くも神に仕える忙しさ

2021-10-03 08:37:58 | 岐阜・愛知・三重
熱田神宮に来ている(注:2009年時点)。在所は名古屋市熱田区神宮1−1−1。尾張国の聖地に違いない。神社のすぐ南には、旧東海道の七里の渡し跡が残っているから、かつては海に臨む社域だったのだろう。北方8キロほどに名古屋城がある。この配置を知って反射的に難波の住吉大社と大阪城の関係を思い浮かべたが、意味があるかどうかは分からない。ただいずれも神社の方が歴史ははるかに古く、熱田社の創祀は2世紀に遡るのだとか。恐ろしいほど古い。 . . . 本文を読む
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940 関(三重県)街道を遡って行く鈴鹿関

2021-04-12 10:00:05 | 岐阜・愛知・三重
東海道「関宿」である。53次の内、江戸から数えて47番目の宿場町である。ただこの「関」は、7世紀に遡る「鈴鹿関」を受け継ぐ由緒がある。関所に由緒などあるものかと言えばそれまでだが、不破関、愛発関とともに「律令三関」を形成する、ほとんど国家の始まりを伝える関跡となれば、歩く気分も一入である。宿場の中ほど、江戸から百六里に当たるあたりに建つ眺関亭から俯瞰する。街並みの向こうに聳える山が、鬼の棲む鈴鹿峠であろうか。 . . . 本文を読む
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939 亀山(三重県)亀山の街は静かに花吹雪

2021-04-11 12:25:49 | 岐阜・愛知・三重
四日市から乗車した関西本線は、亀山止まりだった。亀山まではJR東海、ここから先はJR西日本の管内になるからだろう。亀山市は三重県中北部の人口5万人弱の街だ。カメヤマと聞いて思い当たるのはローソクと液晶テレビの亀山モデルくらいの私だから、この機会に街を歩いてみようと下車する。何の予備知識もないので、とりあえず城跡を目指して歩き始める。今日はこの旅の「中日」。幸い好天続きだが街は吹雪いている。花吹雪だ。 . . . 本文を読む
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938 養老(岐阜県)養老の天命反転疲れ果て

2021-04-10 10:29:42 | 岐阜・愛知・三重
私が住んでいる東京・三鷹に「天命反転住宅」という風変わりな建物がある。建築の狙いはいくら読んでも解らないから放っておくとしても、大きな積み木を組み上げたようなカラフルな形状自体は面白く、私は通りかかるたびに眺めて楽しんでいる。その住宅と関わりがあるのかどうか、岐阜県のどこかに「天命反転地」というテーマパークのような場所があることも知って久しくなる。行ってみたいと思いつつ、辺鄙だからと断念してきた。 . . . 本文を読む
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