今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

734 大洲(愛媛県)川風を葉擦れに替えて大ケヤキ

2016-10-30 07:00:00 | 愛媛・高知
大洲の街を意識したきっかけは、中江藤樹である。琵琶湖のほとり安曇川町にこの近江聖人を訪ねた折り、若き日の与右衛門(藤樹)が仕官し、後に脱藩した地であると知ったからだ。脱藩は重罪のはず。しかし与右衛門はその後、郷里で私塾を開き、41年の天寿を全うしている。それを黙認した大洲とはどのような土地なのか、歩いてみたいと思ってきた。肱川のほとりの小盆地。南予地方北部の、松山と宇和島の中間にある街だった。 . . . 本文を読む
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733 宇和島(愛媛県)牛鬼が邪気を払って真珠採り

2016-10-29 07:00:00 | 愛媛・高知
四国の形をおおざっぱに横長の長方形だとすると、私が知っている四国はその上辺と下辺部分に限られる。だから今回はその左辺、つまり西海岸に行ってみたいと考えた。おそらくその中心的な街だと思われる宇和島を目指している。朝、黒潮町を出立してもう昼に近い。愛媛県に入ってからずっと続く下り坂が、ようやく平坦になったところが宇和島市街だった。港まで行くと「道の駅・きさいや広場」があって、大漁旗が翻っている。 . . . 本文を読む
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732 四万十(高知県)清流をただひたすらに遡る

2016-10-28 07:00:00 | 愛媛・高知
四万十川を遡る。四国の川はほとんどが清流らしいけれど、四万十には「清流本家」のような響きがあって、朝靄がたなびく茫漠とした風景さえ何だかありがたい。流れが蛇行するあたり、大きな石原が広がっている様子は紀伊の熊野川を思い出させる。ただ、そこに沈潜橋が架かっていると、やはりここは四万十川なのだと思う。欄干が無く、増水時には流れに沈む橋は、私には歩くことさえ危ういのに、地元の車は平気で渡っていく。 . . . 本文を読む
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731 大方(高知県)この海が襲ってくる日を覚悟して

2016-10-27 07:00:00 | 愛媛・高知
黒潮町の入野海岸である。いい波が来るのだろう、サーファーが日の傾きを惜しんで繰り返し海に向かっていく。7年前にこの海岸で1泊し、とても気持ちがよかった。だから今度の二人旅も、この砂浜に立ち寄ろうと思った。砂浜は静かに広がり、松原は緑の城壁を延ばしている。風景は7年前と何も変わらないけれど、その後に発表された南海地震の被害想定で、ここには最大34.4mの津波が襲って来るとされた。そのことが変わった。 . . . 本文を読む
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730 南国(高知県)貫之の古き館でもの思ふ

2016-10-26 08:47:39 | 愛媛・高知
「貫之の古き館で見上ぐればひつじ雲分けジェット機が往く」。これは古今和歌集の歌ではない。土佐の国司に赴任(930年)した紀貫之が、5年ほどを暮らした館跡で、私が詠んだ1首である。写真左上空の機影にお気づきだろうか。南国市比江の田園地帯。俳句・短歌の投稿箱が備え付けられていて、専用の用紙も置いてある。だから「はい、どうぞ」と妻に急かされ、推敲も程々に口を突いて出た、拙速そのままの歌だと言い訳したい。 . . . 本文を読む
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729 高知(高知県)ハチキンは今夜も飲むさ土佐だもの

2016-10-25 09:59:36 | 愛媛・高知
高知で、地元の方に飲みに誘われたことがある。はりまや橋からアーケード街が続く繁華街だった。中央にテーブルが並び、その周りに様々な酒の肴を売る店があって、各自が好きなものを買って飲む、楽しい酒場だった。今回は奥方を案内したいのだが、場所が判然としない。ホテルで説明し、「まだ在りますか?」と訊ねると、すぐに承知で案内パンフレットまで手渡された。「ひろめ市場」という地元飲兵衛の人気スポットなのだった。 . . . 本文を読む
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728 脇(徳島県)静かなり藍より青き空の下

2016-10-24 11:34:04 | 香川・徳島
「高松に藍染めの店はないでしょうか」と、妻がホテルで訊ねている。織りに関心のある彼女は染めへの興味も強い。翌日はジョージ・ナカシマの木工記念館に寄ってから高知に向かうことにしているが、地図を確認すると、記念館からまっすぐ南下して徳島県に入ると脇町に通じることに気がついた。脇からは、徳島道が高知に繋がっている。脇町に行って藍染めを見ようとコースを変えた。これで彼女も四国4県に足跡を残すことになる。 . . . 本文を読む
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727 屋島(香川県)源平は庵治石磨く艶の素

2016-10-23 18:32:31 | 香川・徳島
「庵治(あじ)石」という石材がある。正式名称を「黒雲母細粒花崗閃緑岩」といい、石英と長石を主成分にした花崗岩と閃緑岩の中間に位置づけられる石で、屋島の東側に、屋島と対峙するように瀬戸内海に屹立する五剣山の麓で産出するーー。資料を見ながら書いてはみたが、素人の私には見当がつかない。だが彫刻には最高の石材で、だからイサム・ノグチや流政之がアトリエを構えたのだと知ると、どこか納得できるからおかしなものだ。 . . . 本文を読む
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726 高松(香川県)静寂と清潔に漂うカフカ君

2016-10-22 21:05:52 | 香川・徳島
「四国に行こう」ということになった。 彼女にとって四国は、瀬戸大橋を渡って丸亀駅前の猪熊弦一郎美術館に立ち寄った、その1時間ほどの経験しかない未知の国なのだ。何度か旅している私にしても、 知らない街はまだたくさんある。5日間の日程で、できるだけ四国を感じ取れるようにと「まず高松に入り、高知に出て四万十川を遡り、西海岸から松山へと回る」コースを考えた。直撃が心配された台風は、日本海に逸れて行った。 . . . 本文を読む
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