今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

328 久留米(福岡県)・・・平坦な街に絣の影薄く

2011-03-28 23:28:26 | 山口・福岡
国割りというものは、人間の営みが堆積するに連れ、大地が篩にかけられるようにして自ずから線引きされて行くものなのだろう。従って山や河川といった、地勢に添った形に落ち着くことが自然である。シナイ半島のように大国の思惑で無理に線引きされた国境は、深刻な争乱を引き起こす。こんなことを考えたのは、福岡県の久留米を訪れるにあたって、この街が福岡の中でどのような位置にあるのか、何も知らなかったからだ。 . . . 本文を読む
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327 呼子(佐賀県)・・・朝市にイカを尋ねてつまみ食い

2011-03-27 23:54:07 | 佐賀・長崎
岬の突端に建つ宿だというのに、潮騒も風の音も響いて来ない。余りの静けさに窓を開けてみると、凪いだ海面を月光が照らしていた。冬至の夜の月はほぼ満月で、漆黒の空の暗さを際立たせている。対岸の岬には小さな集落と港があるようで、赤い灯火が海面に反射している。玄界灘とは荒々しい海に違いないと思い込んでいたのだが、実際は冬の夜がただ静かに過ぎて行くだけだった。ここは佐賀県唐津市の呼子(よぶこ)である。 . . . 本文を読む
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326 名護屋(佐賀県)・・・愚かなる強者どもが夢の跡

2011-03-25 20:06:33 | 佐賀・長崎
壮大な愚行の跡が、冬至の残照を浴びて静まり返っている。佐賀県唐津市鎮西町名護屋。深い入り江に守られた名護屋城跡である。日が落ちんとしている海は玄界灘で、壱岐、対馬と島を伝えばほどなく朝鮮半島に達する東松浦半島の岬の高台の、礎石だけが残る天守台に私たちはいる。破却され、放棄されてなお残った石垣を巡り、ここまで登って来た。権力とは、かくも馬鹿馬鹿しいエネルギーを産み出すものなのかと虚しさを憶えながら。 . . . 本文を読む
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