今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

325 中尾山(長崎県)・・・陶郷に染め付け筆の速さかな

2011-02-13 22:16:15 | 佐賀・長崎
この地方では珍しいことではないのかもしれないが、波佐見町は集落を「郷」と呼び、それが正式な地名になっている。宿郷、金山郷、皿山郷など、いい響きである。東西に延びる主要路をはずれ、町の東南端に向かう道を登って行くと《陶郷・中尾山》と書かれたアーチ状のゲートが現れ、家並が密集し始めた。波佐見焼の窯元が集中する中尾郷に着いたのだ。私をここまで誘うきっかけを作った湯飲みの工房も、ここにあるはずだ。 三 . . . 本文を読む
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324 波佐見(長崎県)・・・山里に朝日を浴びて登窯

2011-02-07 15:46:32 | 佐賀・長崎
東日本の人間である私は、茶碗や皿など日用の焼き物はすべて《セトモノ》と総称する習慣の中で育った。概ねそれらはツルンとした肌の磁器が多かったのだろうが、土の感触の色濃い陶器が混じっていたとしても厳密に区別されることなく、すべてセトモノであった。それほど東日本では、瀬戸地方で焼かれた生活雑器が家中を占領していたのである。だから《ハサミ》という西日本の大産地を知るのは、還暦を過ぎることになったのだろう . . . 本文を読む
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323 有田(佐賀県)・・・石を砕き器を産んで400年

2011-02-05 17:24:56 | 佐賀・長崎
私は呆然としている。あったはずの丘陵が深々とえぐられ、白茶けた胎内を剥き出しにされた山の残骸が寒風に晒されているのだ。だが呆然となったのは、その見慣れぬ光景もさることながら、山が消えるほど膨大な量の土が採られ、磁器となって国内外に運ばれて行った、そうした人間の営みの凄まじさを見せつけられたことによる。ここは佐賀県有田町の街はずれ、400年前に朝鮮人陶工・李参平が発見したとされる泉山磁石場である。 . . . 本文を読む
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