脚の痛みが増し、腰までしびれて来た。しかしこうやって吞気に美術展をハシゴできている果報を思えば、泣き言が許されるはずはない。内戦に向かいつつあるウクライナ、中国公船の横暴に震えるベトナム、大勢の少女が拉致されたナイジェリア。地球上では恐怖と怒りが渦巻いている。東京芸大から都美術館に向かう林の広場で、ホームレスの人たちだろうか、パンの無料配布を待って大勢たむろしている。私もお昼を食べ損ねている。 . . . 本文を読む
上野で美術館をハシゴした。ハシゴが過ぎて脚が痛くなった。何しろ東京国立博物館で「栄西と建仁寺」「キトラ古墳壁画」と特別展をハシゴしたうえに「新指定 国宝・重要文化財展」「飛鳥―キトラ2016」まで観て、「法隆寺宝物館」に立ち寄ってから東京芸術大学に回り「法隆寺金堂壁画・別品の祈り」を鑑賞、さらに東京都美術館で「バルテュス展」「公募団体ベストセレクション展」「東光展」とくまなく廻ったのだから、疲れた! . . . 本文を読む
「碧天」とは、こうした空を指すのだろうか。私は六里ヶ原と呼ばれる高原で独り、深呼吸をしている。眼前で陽光に全身を晒しているのは、浅間山(標高2568m)だ。残雪の端切れをわずかにまとい、神々しくも冷ややかに鎮座している妖艶な美女の如くである。その肌は天を瞬時に氷結させたかのように、触れたら手が張り付いてしまうだろうほどに冷たく滑らかに輝いている。山頂からわずかに上る白煙は、彼女の息づかいなのだろう。 . . . 本文を読む