今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

656 毛馬内(秋田県)毛馬内は小さな街の偉大な志

2015-07-22 15:18:51 | 青森・秋田
内藤湖南が生まれた街・毛馬内。私はこの不思議な響きの地名に接して「聞いたことがある」と思った。だがいつ、どんなきっかけで記憶することになったかは思い出せない。今回の旅で、最寄りのJR花輪線十和田南駅はかつて毛馬内駅という名称であったと知った。改称は1957年と昔のことだが、駅名として毛馬内を記憶したのかもしれない。改称の理由は知らない。ただ十和田南とは「湖の南」、つまり「湖南」の号そのものではないか。 . . . 本文を読む
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655 小坂(秋田県)山中に理想の街を創りつつ

2015-07-21 21:40:59 | 青森・秋田
秋田には鉱山が多い。私が旅した県北部だけでも阿仁、花岡、大葛、尾去沢、小坂などのヤマが連続する。地球生成時のマグマが、このあたりに金・銀・銅・鉛といった鉱脈を連続させたのだろう。地下資源は莫大な富を産む。例えば小坂鉱山で、人々は鉱山事務所の華麗さに眼を奪われ、康楽館の舞台に文明を見る思いだっただろう。しかし資源はいつか果てる。掘り尽くされたヤマは役割を終え、閉山を迎える。ここからが街の正念場である。 . . . 本文を読む
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654 大湯(秋田県)サークルで何を語らう縄文さん

2015-07-20 21:31:11 | 青森・秋田
私の顔は平板で、眉は薄い。どちらかといえば縄文より弥生人の系譜に繋がると、顔付きは物語っている。しかし実はそうではなくて、縄文人のDNAを色濃く受け継いでいるのである。というのも、縄文人が生きた痕跡に出合うと、決まって心がトキメクのである。今回はトキメキ過ぎて、架けていた眼鏡を落としても気がつかなかったほどだ。大湯環状列石でのこと。今ごろ私の眼鏡を見つけて、縄文人が眼を回していることだろう。 . . . 本文を読む
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653 鹿角(秋田県)山中に思いがけない風情あり

2015-07-19 21:28:04 | 青森・秋田
日本の歴史で武士の時代は結構長い。12世紀ころから700年ほど続いた。ここでは主にその成熟期である江戸時代を思い浮かべているのだが、私は常々、武士の世界観が《藩》で完結することを不自然に感じている。現在の都道府県か、それよりもっと狭い地域である《藩》。そこが彼らの国家であり宇宙なのだ。そんな狭い空間は嫌にならなかったのだろうか。鹿角市花輪の商店街で、南部せんべいを売る店を見かけてそんなことを考えた。 . . . 本文を読む
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652 大館(秋田県)山中に床しくもあり秋田犬

2015-07-18 21:18:34 | 青森・秋田
大館を訪ねた6月30日は「花岡事件」の日だった。今年が70年目ということもあり、街ではいつにも増して厳粛な慰霊祭が開かれているようである。青森県境に近い山中の城下町。奥羽本線の大館駅では忠犬ハチ公の像が出迎えてくれる。大館はハチの故郷でもあるのだ。観光案内所で「中心部まで歩けますか」と訪ねると、係の女性が難しそうに私を見て、自転車を奨めてくれた.。だから私は初めての街で、慣れないペダルを漕いでいる。 . . . 本文を読む
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651 能代②(秋田県)街じゅうが杉の薫りとバスケット

2015-07-17 20:43:09 | 青森・秋田
能代訪問は2度目になる。秋田に詳しい同僚が、弘前から五能線のリゾート列車「しらかみ」で同行してくれたことがあった。その日は能代で飲んで泊まったはずだが、案内を人に頼るとラクではあるが記憶は薄くなる。覚えているのは中天に懸かかる満月と、駅のホームにバスケットボールのリングが設置されていたことくらいだ。それを見つけて「そうか、能代か」と、能代工業と試合をして楽勝した高校時代を思い出したのだった。 . . . 本文を読む
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650 能代①(秋田県)松原に風の子駆ける日本海

2015-07-17 10:35:58 | 青森・秋田
能代では「風の松原」を歩きたいと思っていた。だから能代駅で五能線を降りると、さっそく市内循環のバスに乗った。市街地の南半分をゆるゆる回りながら海岸に近づいて行く。そうやって街を眺めていて「何か違う」という思いが募る。何だろうか。ようやく気がついたのは「ゴミが落ちていない!」ということだった。住宅街はもちろん郊外店舗街も、歩道も車道も塵一つ見当たらない。人もいないのだがゴミが落ちていないのだ。 . . . 本文を読む
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649 大潟(秋田県)潟を干し暮らしを創り豊かなり

2015-07-16 10:01:31 | 青森・秋田
「大潟村に行ってみる」と言うと、周囲は「なぜ?」と怪訝な顔をする。広大な八郎潟を干拓し、大規模な米作りが行われている、ということはみんな知っている。しかしわざわざ出掛ける場所だとは誰も思わない。その怪訝さであろう。私だって何故と訊かれて明確には答えられない。ただそうした大地があるから行って見てみたい、と言うしかない。問題は、列車とバスしか移動手段のない私に、村へ行く方法はあるか、という点だ。 . . . 本文を読む
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648 秋田(秋田県)壁画観て秋田の旅を歩き出す

2015-07-15 09:54:09 | 青森・秋田
秋田県の北部地域を4日間歩いた。ローカル列車と超ローカルな路線バスが頼りの旅だから、「歩いた」といっても嘘にはならないだろう。旅は、1枚の絵を観てから始めようと考えていた。藤田嗣治の壁画『秋田の行事』だ。秋田の資産家と藤田との出会いが産み出した巨大な壁画である。その絵の存在は知っていたものの、なかなか対面する機会がなかった。新幹線を降りるや心弾ませ、建設されたばかりの秋田県立美術館に向かった。 . . . 本文を読む
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