新潟地震(1964年)のトラウマで、地震過敏症になっていた私は、翌年から始まった長野県松代町の群発地震に強い関心を持った。ただ地図で詳しくその位置を確認する努力は怠り、新聞の大雑把な図で町の在所を知ったつもりになっていた。以来、松代町は「いつか行ってみたい町だけれど、正確にはどのあたりに存するのか判然としない」という、私の中では中途半端な街になっていた。その松代に、ついに分け入る時が来たのである . . . 本文を読む
信州中野の「いきいき館」は、山積みされたぶどうケースのすき間を買い物客が埋め、身動きもままならない。会場前の広場では、入場待ちの人々が長蛇の列を延ばし、さらに道路には、上り下り車線とも駐車場の空き待つ車が数珠つなぎだ。北信濃の、いつもは静かなのであろう街で、いったい何が起きているのか。年に一度、1日だけの「ぶどう祭り」当日なのである。私のような遠来の者まで参入して、果たしてナガノパープルの行方は? . . . 本文を読む
アサギマダラが舞っている。アゲハよりはやや小型ながら、モンシロよりずっと大きい姿で、浅葱色の翅を優雅に泳がせている。ここは群馬県中之条町が営む花の駅・花楽の里。草津
から帰る湯治客が、肌を休めようと立ち寄った沢渡温泉に通じる暮坂峠道にあって、標高1000mほどに広がる花の園だ。その一角にフジバカマの群落を育てたところ、アサギマダラがやって来るようになったという。どこから来て、どこへ行くのだろう。
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