今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

717 尻焼(群馬県)いい湯だなとは言い難し尻は焼け

2016-07-20 14:51:57 | 群馬・栃木
草津白根山の東麓を抉るようにして、白砂川が南行している。そこに東北部の水を集め合体する流れを長笹沢川と言い、合流部に温泉が連続する。その一つが尻焼温泉で、川底からも湯が湧いている。この一帯を俯瞰すれば、草津の100もの源泉が噴き出す高原を、やはり温泉の湧く谷が縁取っていると分かる。中央アルプスほどの標高はないとはいえ、群馬県北西部の、長野・新潟県境に広がる大山塊まっただ中である。 . . . 本文を読む
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716 高山②(岐阜県)古椅子の故郷を訪ね「こんにちは」

2016-07-19 04:41:15 | 岐阜・愛知・三重
わが家に古い木製の椅子がある。私が仕事に就いて間もないころ、前橋市の家具店で買ったのだから、もう45年は使い続けていることになる。店で「飛騨の椅子」だと聞いた記憶がある。まだ飛騨が家具の産地であることも知らず、木組みのバランスがとてもいいと感じて衝動買いしたのだった。当時の私にとっては高い買い物だったけれど、私や、受験期の息子が酷使してきたにもかかわらず、故障は全く見られない。 . . . 本文を読む
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715 高山①(岐阜県)街並みに異言語いっぱい交わされて

2016-07-18 12:23:28 | 岐阜・愛知・三重
飛騨に高山ありと耳にはするけれど、歩いてみれば実に小さな街である。宮川の流れを挟んで、陣屋と古い街並みという観光名所がある程度なのだ。天領の面影を残す街としては、九州・日田に似ているかもしれない。いま、地方の多くの商店街は寂れている。しかし狭く小さいと映った高山は、歩いているうちに違いが見えてくる。市民の商店街らしい本町通りや安川通りも元気に維持されているのだ。街が活きている。 . . . 本文を読む
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714 飛騨古川(岐阜県)昼下がり静まり返る飛騨の街

2016-07-16 20:58:30 | 岐阜・愛知・三重
「飛騨」とは何か。この列島で「最も山深い国」のように私には感じられる。単なる「奥地」ということではない。京の都からさほど遠くなく、古くから人の暮らしがあったのだろうし、むしろ蓄積された文化を秘めてさえいるようでもある。だから信濃とは違う陸奥とも異なる、「得体の知れない山深さ」を憶えるのだ。飛騨は古くは斐太と書いた。ヒダは山襞のことだろうか。越えても越えても次のヒダが現れるように。 . . . 本文を読む
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713 白川郷(岐阜県)山の神恐れおののき手を合わす

2016-07-16 08:31:04 | 岐阜・愛知・三重
ハイウエーを疾走して来て、初夏の光溢れるこの郷を展望すれば、「まあ、奇麗!」「いいところねぇ」などと歓声を上げたくなるのも分からないではない。世界遺産・白川郷である。しかし、ぐるりを山々に包まれて、隠れ里のごとく踞るこの小宇宙に、厚く雪が積もった景色を想像してみるがいい。踏み分け道しかなかった時代、孤絶した山中では生きることで精一杯だったろう。その厳しさがこの特異な集落を生んだ。 . . . 本文を読む
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712 郡上八幡(岐阜県)清流に鮎と徹夜の踊りかな

2016-07-15 16:17:49 | 岐阜・愛知・三重
「ぐじょうはちまん」という街の名を耳にするたびに、どうも通称らしいと思いながらも、正しくは何という自治体なのか、確認することなく過ごしてきた。岐阜県中央部に位置する、私の暮らしとはまるで接点がない地方であるから、深く知る必要はなかったのである。ただこの街を紹介する書や番組は、夜通し続く盆踊りやお城など、例外なくその風情を讃えているものだから、いつか訪ねたい街だと意識してきた。 . . . 本文を読む
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711 有松(愛知県)絞り上げ魔法のごとく染め上げる

2016-07-14 21:05:20 | 岐阜・愛知・三重
かつて桶狭間の古戦場を見物した折りに「有松」を案内していただいたことがある。街並みを見物しながら「絞り」の技法に接してみるのも一興です、ということだった。浴衣や暖簾など、製品としての「絞り染め」はもちろん知っているつもりだったから、何が一興かと思わないでもなかったけれど、実際に目にしたその工程は、唖然とさせられるほど手の込んだ緻密さだった。一興どころか、一驚させられたのである。 . . . 本文を読む
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710 多治見③(岐阜県)暑さなど負けてたまるかうながっぱ

2016-07-07 05:36:02 | 岐阜・愛知・三重
多治見といえば「暑い!」である。2007年には国内最高の40.9度(その後、高知県で41.0度)を記録、猛暑日日数でも関東の熊谷や館林と日本一を競っている。街の人はその話題になると「ホントに暑いんです」と、諦めたような顔をする。夏至のこの日、もうすぐ日没だという時刻の多治見駅前は、大きな温度計が28.6度を示している。この街が美濃焼の中心地になったのは、この鉄道と関係が深い。 . . . 本文を読む
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709 多治見②(岐阜県)ブランドに頼らなくても陶磁力

2016-07-06 12:22:23 | 岐阜・愛知・三重
美濃焼を訪ねる今回の旅で、私が最も心惹かれた作品はこの婦人像である。ただしこれは美濃焼ではない。岐阜県現代陶芸美術館所蔵のイタリア人作家の作品である。開催中の企画展に展示されていたのだが、写真撮影は不許可だった。しかし隣の撮影可の作品を写したアングルの隅に写り込んでいたのだ。だからピントは甘いが、それでも掲載はいけないと言われたら削除するしかない。だがこのボリューム、彩色、素晴らしいではないか! . . . 本文を読む
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708 多治見①(岐阜県)陶磁器の最大産地はオリベ色

2016-07-05 15:12:35 | 岐阜・愛知・三重
多治見市役所のエントランスロビーは、大胆に土を抉って逆巻く渦を表現した、巨大な陶壁で飾られている。釉はもちろん「オリベ」である。そのことが、ここが美濃焼の本場であると語りかけてくる。多治見市と、隣接する土岐市、瑞浪市など岐阜県東南部は、国内産陶磁器の50%超を出荷している大窯業地帯なのだ。私はこのところ「美濃焼」なるものに関心を持っている。窯業についての疑問もある。そのことが私を多治見に誘った。 . . . 本文を読む
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707 浅間(群馬県)牛さんよ浅間の草は美味いだろう

2016-07-03 23:17:31 | 群馬・栃木
朝、カーテンを開けると、空の青さに眼が驚いた。私が「地中海ブルー」と勝手に呼んでいる、濃く輝く青である。水蒸気が多い日本では、滅多にお目にかかれない空だ。前日の雨に洗われ、若葉は瑞々しい少年少女期へと成長している。私は暮坂峠に近い標高1000mの陶芸工房に居る。これほどの好天とあっては、土いじりどころではあるまい。「そうだ、浅間牧場に行ってみよう」と思い立つ。北軽井沢まで1時間とかからないだろう。 . . . 本文を読む
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