今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

209 雫石(岩手県)・・・たんたんと雫滴り時は過ぐ

2009-04-26 20:31:22 | 岩手・宮城
雫石に行くことになった。岩手県にある街だということは承知しているけれど、他に何の知識も無い。ただ私の世代では多くの人がそうであるように、その町の名を聞くと、かつて全日空機と自衛隊機が衝突した悲惨な事故を思い出す。衝突地点が町の上空だったのだ。改めて地図を広げ、街の位置を確認してみる。岩手山の南麓にあって、秋田県境に接していることを知る。東北地方の真ん中のような位置だ。いかにも山深そうである。 . . . 本文を読む
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208 草津(滋賀県)・・・追分は天井川に遮られ

2009-04-24 16:07:57 | 滋賀・京都
私の生活圏からいえば、「草津」で思い浮かぶのは上州・草津の湯であり、どうやら全国的にもこちらの方が知名度は高いらしい。しかしここは近江の草津宿である。京から東国に下る江戸期の旅人にとっては、東海道から中山道が分岐する追分として重要な宿場であったろう。交通の要所らしく、ここの地名は「草=陸」の「津=港」から来ているのだという。しかし私が驚かされたのは、その街道を塞いで横たわる天井川の存在であった。 . . . 本文を読む
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207 関ヶ原(岐阜県)・・・殺伐と400年の風渡る

2009-04-21 21:19:14 | 岐阜・愛知・三重
不破関跡を彷徨してなお、日は高い。駅への帰路を外れ、「開戦地」という案内に誘われるままJR東海道線を越えて「天下分け目の」決戦場に迷い込んでしまった。線路の切り通しがあたかも古代の関跡と、中世の古戦場を切り分けているような構図だ。関ケ原は確かに「原」ではあるが狭い。こんなところで大合戦があったというのだから、凄まじい光景だっただろう。原を流れる筋の中には「黒血川」などというリアルな名前もある。 . . . 本文を読む
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206 不破(岐阜県)・・・消え失せて風が吹くだけ不破の関

2009-04-18 22:36:44 | 岐阜・愛知・三重
中世以降ではなく、古代に惹かれるというのが私の性癖なので、JR東海道線の関ケ原駅で下車したのは古戦場に関心があったからではない。不破関の跡に立ってみたかったのだ。しかしそこは見事に滅んでいて、どこに立つべきか見当がつかない。東山道の分岐点あたりで「余りにも遥かになりぬ不破関越えにしあの日吾の名は何」と、思わず歌が口を衝いて出た。1300年ほどの昔、関を通過した私の祖先がいたように思えたのである。 . . . 本文を読む
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205 大垣(岐阜県)・・・大垣は水と桜と結びの地

2009-04-17 13:57:31 | 岐阜・愛知・三重
「日本の真ん中」を標榜する街はいくつもあって、長野には「中心地点」をご神体と崇め、本殿の床に穴があいている神社まである。「真ん中」をどう捉えるか、いろいろあるのだろうが、美濃もそう主張する権利はある。事実、日本の人口重心は長く岐阜県内を僅かに移動しているのだそうで、ここを境に東西日本の人口は拮抗している。だから大垣が、天下分け目の関ケ原の合戦に巻き込まれたのは致し方ない、というのはこじつけである . . . 本文を読む
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204 岐阜(岐阜県)・・・賑わいと暮らしの良さが同居して

2009-04-05 21:11:32 | 岐阜・愛知・三重
訪れるたびに、岐阜は「賑わいと静寂のバランズがほどよく均衡した、暮らし良さそうな街だ」と感じる。今回の訪問では、長らく続いていたJR岐阜駅前の整備事業がほぼ完成に近づき、モダンなコンコースが姿を現したことでそのことをなお強く感じた。駅前から金華橋通と長良橋通が北に延び、その間の柳ヶ瀬界隈はやや活況が失せて来ているようではあるが、金華山まで足を延ばせば緑陰と長良川の清流が迎えてくれる。よくできた街 . . . 本文を読む
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203 起(愛知県)・・・宿場にて絵筆を握る人想う

2009-04-04 22:04:24 | 岐阜・愛知・三重
三岸節子という画家がいなければ、私が起(おこし)という地名を知ることも、ましてや実際に訪ねてみることも無かったろう。起は愛知県北西部にあって、岐阜との県境を流れる木曽川左岸の集落だ。江戸時代、東海道・宮宿と中山道・垂井宿を結ぶ脇往還・美濃路が開設され、起宿が起こった。明治38年、三岸節子(旧姓・吉田節)はこの土地の名家で毛織物業者の4女に生まれた。生家跡には今、一宮市三岸節子記念美術館が建つ。 . . . 本文を読む
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202 一宮(愛知県)・・・ファッションをお宮参りでクリエイト

2009-04-04 14:15:09 | 岐阜・愛知・三重
冒頭に掲げる写真は、筆者にとってその旅での「この街の1枚」である。その街を初めて(あるいは久しぶりに)訪ね、ぶらぶらと歩きながら感じた街の雰囲気を、最も端的に表現できたと考えるカットを選んでいるつもりだ。しかしそれは、あくまでも私という他国者が、短期間に体験した勝手な感想であって、土地の方々にとっては「とんでもない勘違い」かもしれない。さしずめ一宮の寂しい1枚は、そんなお叱りを受けそうである。 . . . 本文を読む
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201 大原(京都府)・・・道は濡れ心も濡れて三千院

2009-04-03 00:01:11 | 滋賀・京都
私は長く「奈良派」であって「京都派」ではないから、京都を歩いた回数は少ない。それでも観光名所はほぼ足跡を残しているのだけれど、大原だけはこれまで行ったことがなかった。湖西山中の朽木から、1日に2本だけ京都市内に通じている路線バスがあり、そのバスが途中、大原を通るのを幸いに降りてみることにした。朽木を午前9時30分に出たバスは、鯖街道を南へ安曇川を遡る。大原まで約50分、乗客は最後まで私一人だった . . . 本文を読む
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