今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

493 押上(東京都)テッペンへ首を押し上げ痛くなる

2013-01-23 21:54:04 | 東京(区部)
東京タワーに代わる新しい、それも世界一高い電波塔を建てる計画が発表され、何カ所もの誘致希望が名乗り出たとき、私は関心を持ってその帰趨に注目した。そして、さいたま新都心や練馬区の豊島園をおさえて墨田区押上に決定したと聞き、よかったと思った。別に濹東に利害関係があるわけではないが、常々東京の重心が、どうも西に偏りがちだと感じていたからだ。そして改めて、自分が押上という街を知らないことにも思い至った。 . . . 本文を読む
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492 都留(山梨県)山峡に大学が建ち50余年

2013-01-20 23:09:46 | 静岡・山梨
富士急行・谷村町駅の近くに「行く駒の麦に慰むやどりかな」の句碑があった。1685年、芭蕉が《野ざらし紀行》の旅の帰途に都留に立ち寄った折りの句で、句碑の隣りに「かつて世話になった谷村藩家老に礼を述べるための来峡だった」と解説してある。この数行で、今は都留市の中核となっている地域に、かつて谷村藩という城下があったことと、来峡という表現に、土地の人がこの山あいの里を《峡谷》と認識していると知れる。 . . . 本文を読む
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491 富士吉田(山梨県)一文字に口を結んで甲州富士

2013-01-20 16:56:19 | 静岡・山梨
地図で「富士吉田駅」を探すのだが、いっこうに見つからない。それもそのはずで、2011年に「富士山駅」と改称されていたのだ。どういう狙いからかは知らないけれど、JRであれ私鉄であれ、駅名は街の名刺のようなものだから、安易に変更しない方がいい。ましてや「富士山」では余りに漠然として、街のイメージが結びにくく、「富士吉田」から漂って来る富士講に参じた人々の情念というものが、匂い立って来ないではないか。 . . . 本文を読む
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490 アムステルダム =2= (オランダ)

2013-01-18 15:38:41 | 海外
アムステルダムは心地よい街だった。わずか2泊しただけだから、何が心地よかったか具体的にあげるほどの材料はないのだけれど、印象を端的に述べよといわれたら、そんな答えが一番ふさわしいように思う。街並みがあまり画一的でないからだろうか? 運河の水面が穏やかで、気持ちを鎮めてくれるからだろうか? パリに始まった10日間の旅の最後になったこの街で、ようやく青空と陽光に出会うことができたからだろうか? . . . 本文を読む
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489 ライデン =2= (オランダ)

2013-01-18 02:47:52 | 海外
ライデンの城塞跡の上から、この街のただならない歴史的眺望を楽しみながら、私は人間の営みに「300年の波」があるように思えてならなかった。およそ300年ごとに歴史は節目を刻む、ということだ。ライデンは1266年に内戦を勝利し、都市としてその後の繁栄の基盤を固めた。そして独立に至るネーデルランドの決起が1568年。ナポレオン帝国崩壊によるオランダ王国憲法の制定が1848年。いずれも「300年の波」である。 . . . 本文を読む
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488 ライデン =1= (オランダ)

2013-01-17 16:43:48 | 海外
オランダに行ったらライデン(Leiden)を訪ねようと考えていた。アムステルダムの南西、ハーグとの間にある地方都市で、ライン川が長い旅路を終えるあたりの河畔に営まれた古い街だ。17世紀にアメリカへ渡った清教徒は、ここからも新天地を目指した。そのころこの街でレンブラントが生まれ、19世紀になるとシーボルトが日本から帰って来た。私は何よりも、16世紀のオランダ独立戦争で市民が立て籠ったという《城塞》が見たかった。 . . . 本文を読む
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487 ブリュッセル =1=(ベルギー)

2013-01-16 17:27:44 | 海外
世界一美しいと形容される広場、ブリュッセルのグランプラス(Grote Marki/Grand Place)では、明日のクリスマスを待つ市民が列を成し、いま点灯されたのであろうプレゼピオ(イエス誕生の馬小屋の模型)に熱い視線を送っている。昨年のこの日は、これを陽光のローマで眺めたのだったが、この日は冷たい雨の中である。だが日暮れのように暗い土地(アーベントランド)のクリスマスは、かえって深い祈りが感じられるのだった。 . . . 本文を読む
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486 ブリュッセル =2= (ベルギー)

2013-01-15 01:13:19 | 海外
大自然の絶景を眺めるのは素晴らしいと思うけれど、どちらかといえば関心は異国の暮らしや歴史に向くものだから、旅の目的地は《街》になることが多い。そして歩いて観て食べることになるのだが、街の匂いを肌で感じるにはマーケットを歩くのが手っ取り早い。従ってしばしば《蚤の市》を探し歩くことになる。ブリュッセルではジュ・ド・バル広場が名高いというので出かけてみる。12月24日だから休みかな、と危惧しながら。 . . . 本文を読む
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485 パリ =5= (フランス)

2013-01-13 09:38:29 | 海外
ユーラシア大陸の西端に位置する、コマゴマと国境が引かれた大地。言葉も違えば顔つきも異なるけれど、そこには「ヨーロッパ」のひと言で括れる何かがある。それをカトリシズムだと説く人がいる。キリスト教を受け入れたローマ帝国が、アルプスを越えて北に版図を広げて以来、信仰と戦いの長い時間が共通の暦(生活リズム)を定着させ、「ヨーロッパ人」である意識を染み込ませた。それは島国とは、かなり異なる国家観である。 . . . 本文を読む
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484 パリ=4= (フランス)

2013-01-12 16:11:58 | 海外
パリ(Paris)は都市計画された街だ。ガイドブック的に言えば「セーヌ川の中洲・シテ島に先住民・パリシイ族が住みついたのは紀元前。ローマの支配を経て5世紀ころからフランスの首都として本格的に街が拡大しはじめた」とでもなろうか。19世紀に大改造が行われ、現在の街区が形成された。ルーブル美術館に建つカルーゼル凱旋門から、コンコルド広場・シャンゼリゼ通りを経てエトワール凱旋門に至るラインが、パリの歴史軸だ。 . . . 本文を読む
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483 パリ =3= (フランス)

2013-01-12 03:43:31 | 海外
パリではスリに気をつけるよう、息子からも忠告されていた。しかし危険は他にもあった。犬の糞である。石造りの建物が連なる街路を、しっとりとした光沢を湛えて延びて行く石畳の歩道。それは世界遺産の街へと誘う情緒あふれるプロムナード、であるはずだ。しかし点々と犬の痕跡が散らばっているのは何故だ! 形をそのまま残したもの、踏まれて滑った跡を印しているもの、足下に集中していないと、いつ餌食になるかわからない。 . . . 本文を読む
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482 アムステルダム =1= (オランダ)

2013-01-11 05:22:20 | 海外
これを目玉にすれば盛況満員は疑いなしだと分かっているけれど、世界中の美術展ビジネスがどうしても借り出せない絵画が2点ある、のだという。レンブラントの『夜警』とピカソの『ゲルニカ』だ。オランダとスペインが法的規制をかけているのかどうかは知らないけれど、人類の至宝はそのくらい大切にしてもらって当然だろう。だからアムステルダムまで観に出かけたわけだが、それほど貴重な『夜警』が撮影OKというのだから驚いた。 . . . 本文を読む
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481 パリ=2= (フランス)

2013-01-10 16:24:25 | 海外
人間はなぜ、絵を描くのだろう。紙やカンバス、あるいは漆喰の壁や洞窟の岩盤にと、平面に近いものがあれば、そこに見たものを描きたがるのが人間だ。何のためなのか? 描いている本人にもそのことは分からないのかもしれない。ただ描くことで、こみ上げて来る欲求を満たしているのであろう。描くことは苦手でも、観ることに喜びを覚えるのも人間だ。だからわざわざ遠い異国にまで出かけ、1枚の絵に対面して感激できるのだ。 . . . 本文を読む
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480 パリ =1= (フランス)

2013-01-08 19:28:14 | 海外
人間の創造の最高峰は音楽だ、と言い切る人がいる。本当にそうかな? と思いながらも音楽に疎い私に反論する力はない。確かに「音の組み合わせ」という目に見えないものを操って人間の感情を昂らせ、あるいは鎮める音楽は、魔術的でさえある。それは分かる。でも美術だって・・と言いたくなる。絵画や彫像の前で立ちすくんでしまった経験は、誰にもあるだろう。人の心を金縛りにする「美」こそ、究極の創造ではないか? . . . 本文を読む
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